《 照らし出された本心 》







『 ……ん…朝…かな…? 』



「 おはよ、こんな所で寝てたら襲われちゃうよ? 」



『 あれ…ハクア、いつの間に大きくなって…あはは綺麗な顔だね…。 』





暖かい体温に包まれ、木々の隙間から溢れている木漏れ日を受けて目が覚めた私は覗き込むようにして見つめてくる男性と視線がかち合い、ハクアが隣にいないことから人間サイズになったのかと勘違いをし、白く綺麗な肌に左手を添えた。





『 本当に綺麗…ハクア、君男だったの…? 』





綺麗な緑色の髪に指を通せばジェハは擽ったそうに片目を閉じた。するとナマエは両腕をジェハの首裏に回し引き寄せる。抱き締める形となり、ジェハは慌てて離れようとナマエの両肩に手を回すが突然聞こえてきた涙声に力が緩んだ。





『 ハクア…あのね、聞いて欲しいんだ。 』



「 …? 」



『 小さい頃、私は誰にも愛されなかったと思う。妹だけが愛されて、私は蚊帳の外状態で、寂しくて、いっそ死んじゃえば楽なのかなって思ってた。でもね…、 』





今思えば、それは全く真逆だったんだよね。やっぱり私は父上様に愛されてた。じわりじわりと涙が肩の部位に滲みゆくのを感じ取ったジェハは涙声で喋り続けるナマエの背中に自然な動作で自分の両腕を回した。





自分の耳に響く、綺麗な声音を両目を閉じて聞き入れ、ジェハは右手をナマエの後頭部へと添えて抱き締め返す。ナマエにとって異性に抱き締められたことのないこの状況は思いも寄らぬ行動だった為に顔に熱が集中した。





『 ハ、クア…? 』



「 大丈夫、君は今も愛されているよ。…僕がそばにいる。 」



『 ハクア…あり、がとう…。 』





自然と目蓋が閉じられていき、暖かい体温を感じながらナマエは涙を流し続けた。止まらない涙を感じ取り、ジェハは身体を離して背中に回していた手で流れる涙を優しく人差指の指先で拭い取る。





すると自分を真っ直ぐ見つめてくるその瞳の熱にジェハの顔は自然とナマエの顔に近付き、唇が触れそうになるその瞬間、





「 っいった…何この狐…ムード読んで欲しいね。 」





今起きた狐のハクアがジェハの腕に噛み付いたのだ。それを目の当たりにしたナマエは狼狽え始め、ハクアとジェハを交互に見てからわなわなと口を震わせ、真っ赤に熟れた林檎のような顔のまま叫んだ。





『 へ、変態ッ!! 』



「 ご、誤解だってばッ! 」





バチンッ、と子気味の良い音が森の中に響き、ハクアは満足そうに伸びをした。









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