「…………」
「…………」
この長い沈黙にどうしていいのか、なまえは悩むことになる
「…………」
「…………」
自分が沈黙を破った方がいいのか、それとも彼が何か言うまで待っているか、どちらも悩む選択肢なのだ
「………ねえ、」
なまえが何か言おうと口を開こうとしたとき雲雀が先に口を開いた。突然過ぎる声に少し驚くがなまえは何ですか、と目で雲雀に訴える
「これ、口に入れてくれる?」
「…………」
ギクリと身体が勝手に反応してしまったなまえは多少の冷や汗をかいてだって…、と声も発することなく相変わらず雲雀に目で訴えている
「限界なんだけど」
「っ……」
近付いてくる雲雀に思わず後ずさる。雲雀の瞳は真っ直ぐなまえの瞳をじっと見つめて逸らさない。彼女もその瞳を逸らせないでいる。逸らしたら負け、のような気がするからである
「早く、してよ」
「まっ…!」
「待たない」
とん…、と壁に背中が当たってしまったなまえはどうすることも出来ず、雲雀の大きな手によって動きが取れなくなる。雲雀はニヤリと怪しく微笑んで、彼女の口に無理矢理「これ」をくわえさせた
「もうやるから」
「え、あっ…!」
───ポリポリポリポリ…
「っ…!!も、無理っ!!顔近い!」
「まだ全然余裕だけど」
「だって!きょーやが真剣な顔して私を見るんだもん!恥ずかしくてポッキー食べられないよっ」
「なまえの真っ赤になる顔が見たいからね」
「きょーやの馬鹿っ!!」
彼女の反応を見ては微笑み、もう一度やろうかとまたポッキーを袋から取り出し、早くくわえなよとポッキーの端を彼女の口元へと運ぶのだ
11月11日。今日はポッキーの日ということで雲雀が風の噂で聞いたポッキーゲームが応接室で開始していた
「もうダメだって!さっきの会話だけ聞いてたら怪しいと思われちゃうよ!」
「いいでしょ、別に。減るものじゃない」
「良くないっ」
「別になまえが望むならそっち系してあげてもいいけど?」
「い、いいっ!!結構!」
応接室から廊下に繋がる扉越しでその会話を聞いてしまった草壁ははらはらしながら聞いていたようで
甘めのティータイム
(ほらもう一回。次は隅々まで食べてあげるから)
(きょーや!それ怪しい言葉にしか聞こえない!!)
雲雀夢小説同盟へ提出。秋がテーマです!ほんのりエロチックな小説に挑戦してみました(笑)