「出て行けよ!」
「そうだ、俺らの姫をいじめる奴は許さない!!」
無数に飛び交う罵声。
避けきれない拳。
ボロボロな体。
血まみれな自分。
そして、玉砕していくたくさんの大切な物。
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「すみません、雲雀先輩。またやっちゃいました。」
私は笑いながら体を引きずり、応接室に入った。
そして思った通りに彼がいた。
「君、また沢田綱吉達にやられたのかい?」
彼は綺麗な眉を顰め、不満そうな口調で私を睨んだ。
「仕方ないですよ。あの人に騙されてるだけですから。」
私が再び無力に笑うと、雲雀先輩は暫く黙ってしまった。
そして無言のまま強い力で私をソファーに引っ張り、用意した救急箱を取り出し、私の手当をし始めた。
「ありがとうございます。」
私が小さな声でそう呟くと、彼は無表情に顔を上げ、そして――
「仕方ないね。次から僕が守ってあげるよ。」
――最後に残った物は
貴方だけでした。
(まあ、それも悪くないかもね。)