ああ、やっぱり。思考はそう冷静に考えた。だけど顔は言うことをきいてくれないようで、口はひきつり視界は歪む。泣いちゃダメだって、分かってるのに、涙が頬を伝う間もなく床へと落下した。それを見ていた雲雀さんの目も珍しく丸く見開かれていて、私は慌てて持っていたお盆で顔を隠す。
「ご……ごめ、なさ……っ」
言葉は言葉にならず、空気の中に消えていった。泣いてしまったことが申し訳なくて、恥ずかしさも一緒に襲ってくる。すると雲雀さんの携帯なのか、飾り気のない着信音が響いてきた。少しだけ着信音が私のすすり泣きに被さり、クリック音によって掻き消される。また海外からの電話じゃないだろうか。そう思った私の耳に届いたのは聞いたことのない沢田くんの怒った声だった。
雲雀さんは電話の向こうの沢田くんと嫌そうな迷惑そうな顔をして会話をしている。声は聞こえるものの、会話の内容までは聞き取れない。いつもと違う沢田くんに驚き私の涙は止まった。自分ではきっと止めようがなかったから非常に助かった。雲雀さんに、何て言えばいいんだろう。電話を切った雲雀さんは電話のときとは違い罰が悪そうに私を見た。
「さっきのは、別れようって意味じゃないから」
え、と素頓狂な声を上げる私の唇に、降りてきた熱。
嘘をつくのが大好きで
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