「何で、電話に出なかったの」
「えっ……あ、ちょうど飲み物を下に取りに行ってて」
「ふーん」


 適当に理由をつけてみると雲雀さんは疑うことなく不機嫌そうに言った。罪悪感を感じつつもとりあえず家の中へ通す。何を話すかは分からないけど、できるだけソフトにお願いしたい。


「日本に戻って来てたんですか」
「まあね」
「あ、沢田くんに用事があったんですね」
「……まあ、」


 冷たい烏龍茶を雲雀さんの目の前に差し出すと、雲雀さんは烏龍茶を一瞥した後私をじっと見つめた。そんな綺麗な顔で見つめられたら照れるんだけど、と思える余裕は今のところある。ところで今日の雲雀さんはどことなく歯切れが悪い気がする。雲雀さんは堂々とした雰囲気を持ってるからあくまで気がするだけだけど。


「何してたわけ」
「はい?」
「僕が連絡しなかった数ヶ月間」


 何してたって雲雀さんのことでひたすら悶々としてましたけど。なんて言えるはずもなく、耳障りにならない程度に大学のことや友達と遊んだことを話した。「そう」と言って黙ってしまった雲雀さんに、私も口を閉ざした。久しぶりに話すせいか会話が進まない。雲雀さんと話すときどんな感じだったっけ。……あ、私がいつも話してた。


「今回はどれくらい時間あるんですか?」
「しばらくの間はゆっくりできるよ」


 こんなこと聞いてどうするんだろう。色々と考えた今の私では、以前のように街へ出かけようなんて提案できなくなってしまっているのに。まるで自分が雲雀さんに覚めてしまったような考えに泣きそうになった。また内心で悶々としていると、雲雀さんがぽつりと呟いた。


「いい加減、こんな関係やめようと思うんだけど」









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