正直、今はちょっと出たくなかった。結局気持ちに整理が付いてないし、話していたら泣き出してしまいそうで、そうなればうざいと思われること必至だからだ。でも今出なかったらきっと話せる機会を失ってしまう。次の機会はまたずっと先のことになってしまうんだろう。未だ机の上で振動している携帯に、膝立ちの状態で手を触れたり離したりを繰り返していた。そんな悩みも長いコールの末に無意味なものになってしまった。訪れた静寂に安心したような残念なような気持ちが渦巻く。やっぱり出てしまえばこれで終わったのかもしれない。そう後悔した。


 すると次はリンゴンとインターホンの音が家に響く。家族はちょうど外出しているため玄関へ行ってくれる足音はない。次から次に何なんだと不満に思いながらもバタバタと来客者の元へ急いだ。重たい扉を開ける。


「何で電話に出ないの」


 そこにいたのはあろうことか彼氏様であられる雲雀さんだった。久しぶりに会った雲雀さんは髪が短くなっていて眉間に皺を寄せている。私が原因の不機嫌な顔を向けられたのは初めてで、やばいと思いはしたものの、驚きが勝って私は間抜けな顔をしているだろう。雲雀さんの顔は、まだ怒ってるままだけど。









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -