大学生の夏、私は不安になっていた。周りの大学生はみんなサークルなり恋人なりで夏休みを有意義に過ごしている。かくゆう私にも彼氏はいるのだけど、彼……雲雀さんから連絡がくることはここ数ヶ月なかった。


 雲雀さんには中学生の頃から想いを寄せていて、高校卒業後チャンスが舞い降りてきてからお付き合いをさせていただいているんだけど、彼は付き合い出してからもクールで、常に何かの研究に日本と海外を忙しく行き来していた。一緒に出かけたことはあるし、あの厳格な言動が私に向けられたことはない気がする。だけどこう、ここまで放置されていると、私から告白したこともあったからか、雲雀さんは私のことを好きじゃないのかなあ、と感じていた。


 沢田くんとはたまに連絡を取るような仲で、(まあ連絡をくれない雲雀さんの様子を教えてもらうためなんだけど。)私は雲雀さんの特別だとか、大切に思われてるだとか、根拠のない励ましをくれる。沢田くんは優しいからそう言ってくれてるだけであって、さすがに私だってもう子供じゃないんだし沢田くんの言葉を鵜呑みにして盲目的になんてなれない。ただ悲しいだけだ。


 最近考えれば考えるほどやるせない思いばかりが溜まっていて、折角の長い休みも無駄に過ぎていった。もう別れた方が楽なのかもしれない。雲雀さんも、その方が調べものに集中できるんじゃないだろうか。そもそも雲雀さんって一体何を調べているのだろうか。


 はああと長い溜め息を吐いたとき、携帯が軽快なリズムと共に左右に振動した。寂しい私を慰めるために友達が遊びに誘ってくれたのだろうか。だとしたらかなり有難い。この鬱々とした気分を、何とかして早々に払ってしまいたかった。しかしディスプレイに表示されていたのは数ヶ月ぶりに見る名前で。私はさっきまで悶々と考えていた人物からの急な着信に動揺を隠しきれず椅子から転がり落ちた。









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