「月、綺麗だね」呟いた小さな背中に、思わず心臓が跳ねた。どういう、意味だ?空を仰ぐ彼女に倣って顔を上げれば、いつもより明るい月が顔を出していた。「ねぇ真ちゃん、お返事は?」振り返ったその微笑みは、今まで見てきたそれとは何もかもが違う。言葉で言い表すのを躊躇うくらい、綺麗、だった。

(120801/緑間真太郎)