布擦れの音さえ聴こえない程の、静寂。募るのはお互いの心音と、呼吸の音だけ。「シャルルカン、様…?」呼び掛けに返事はなく抱きすくめられた体が緊張感を増す。「もう少し、もう少しだけ、だから」呼吸さえもままならず、伸ばした腕が宙を彷徨う。月だけが、ただ煌々とわたしたちを照らしていた。

(120625/シャルルカン/にじ(二時))