ONE PIECE | ナノ


理性崩壊十秒前?(ハート)


キャラ崩壊注意!!



ドタドタッ…………。

「ん、あれ?何か騒がしくねぇ?」
「どうせベポかシイナだろ」

太陽も煮え切らない曇り空。その日はそんな天気だったと記憶している。そんな天気の中で比較的穏やかな時間を釣りに費やしていたシャチとペンギンは、船の中から聞こえるドタバタとした足音に思考をあまり捕らわれる事なく、そのまま釣りを続行していた。この船でこんな足音を立てるのは例によって二人しかいない。もしそれがシイナなら無視しておいても何ともないし、ベポなら背後にさえ注意していれば(上に乗っかられた時には窒息死してしまう)何の問題もない。
…………そう思っていた。

「シャチ、ペンギンッ!!」
「あ。シイナか」
「…………いや、シイナだけどベポだ」
「あ?」

ついに足音が自分達の後ろに来た。シイナが自分達を呼ぶので振り返ってみれば、そこにあるのはシイナの姿でなくベポの姿。

「何かベポになってんだけど!?何で!?」
「…………あー、」

原因と言うか………こうなったであろう理由を述べれば、先程キャプテンであるローが不機嫌そうにしていた。うちの船長が元凶なのは間違いない。だけど二人の頭の中にはそんな事どうでもいいような気がした。

「これ、完全にローの仕業だよね!?私何もしてないのに!」

そう言って眉を頼りなさげに下げ頭を抱えるベポ………じゃなくシイナ。ベポはオスグマだし、こんな見た目で声低いし、拳法使うし、打たれ弱いしで、癒しキャラ的な存在で彼を扱っていたのはシイナだけだった。
が、シイナと入れ替わった今、見た目はベポだとしても仕草も声もそれはシイナその物だったりするので。

「…………どうしよう、ペンギン。おれ初めてベポん事可愛いって思っちまった」
「…………今回ばかりは船長が不機嫌で良かったと初めて思うぜ」

二人が頭を抱えて落ち込むベポに飛び付くのには、そう時間のかからないことだった。



*****



「…………で、今に至ると?」
「「「そう言うことでーす」」」

あれから三十分後。見た目がシイナになったベポを発見し(あの声の低いシイナはベポになったシイナと違って、物凄く引いた)その四人で雑談をした後は昼寝を甲板で試みていた。曇り空だが細かい事を気にしないのが海賊だ。例え次に行くはずの島が秋島で、若干肌寒くなっててもそれも小さい事だ。まして今のシイナはベポの身体なので、寒さを極端に感じることはない。
シイナも少し経って落ち着けば、ベポの視線に立つのも悪くないと言い出し、ベポの方も人間の視線に立つのが新鮮だと言い出した(女だけど)。
最初は飛び付いてきたペンギンとシャチの二人に驚いたシイナも、ベポの姿だと深く気にならないらしい。すぐに受け止めてくれたし、「たまには皆とこんなのもいいねー」と笑って抱き返してくれた。

「船長、グッチョブです!これ成功ですよ」
「取り敢えず血ぃ止めろ、シャチ」
「ついでにこれ三回目です」
「…………十分に一回出してんのか、お前」
「もう、シャチったら」
「見た目ベポだったら中身シイナでも思いっきり抱き付けるしな」
「変態発言禁止ー」

船長もどうですか!とシャチとペンギンがシイナをローの前に押し出す。シイナが軽く反抗の声を上げていた気がしたが、勿論そんなものが受け入れられる訳がない。
シイナとローは元々そう言う関係なので、抱き合うことに別に焦ることでもないのだが、ただ二人はローがベポに抱きつく姿を見たいだけだろう。シャチの手にはいつ用意したのか、カメラまでちゃんと用意されていた。
この時点で見た目がシイナのベポは、やはり見た目と声のギャップが酷すぎて貶され、端の方で一人で落ち込んでいた。打たれ弱いシイナもまた、不気味だ。

「うわ………ローより視線高いって新鮮」
「ほら、船長!一思いに!」
「ちょ、シャチ!やめてよ!」
「でも中身違うだけでこんなに違うんだな」
「へへー。ベポになってみるのも悪くないよ?」

よ?の部分で首を傾げるシイナ。この仕草だけでシャチとペンギンの心臓は撃ち抜かれた。なんだ、この可愛い生物は。「へへー」何て言うのは反則だ。ベポの癖に!

「…………っ」
「あれ?ロー??」

途中で何も反応しなくなったローを窺うように見るシイナ。ベポの姿だと自分の方が高くなってしまうので。よっこいせと小さい子にするようにシイナは屈んで下からローを覗き見た。そんなローは何故かベポを前に、固まっていた。





(惜しいがもうこれ、やめた方がいいな)
(ああ。何か船長が変なのに目覚めそうだ)
(……見た目とギャップ凄くてすいません)





*****

ベポが不憫すぎる結果に。
ごめんなさい、思いっきりキャラ崩壊です。




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