きえたりふえたり


横顔をずっと眺めては手を合わせ明日よ来るなと祈るばかりだ

意味がないならないなりにそれまでで終わって欲しい明日が怖いから
「こんにちは」「とてもうれしい」「また会えて」なおもうえから意地汚いわ

腫れた顔昨夜の海は大荒れで悲しくもあり晴れやかであり

わたしなら食パン焼いてジャムつけて牛乳入れて朝を始める
息をして自我の芽生えた記憶のそこあの時あたしトマトが好きだった

つつましく開く夜長の女郎花その指先は美しく伸びる

冷凍の苺の味はどうだろう誰何の声と冷えた口の中

誰しもがお腹は空くし糞もする人を呪うし好きになるから
生きていて呪いのように脳にある生きづらいけど死にたくないし
落ちていく夜の底までまっすぐに笑ってていてよどうかわたしを
天国はとおいしあなたは地獄だし内なる声は祈りをあげて
もう最後耳を揃えて終わりです観念します白旗あげて
夜だからあかりをつけて指先で声が全てを支配する世で

腹が減る脳裏で浮かぶ象牙の肌罪なぞ知らぬ獣になろう
交感神経が優位になった夜だから眠れなくてもしようがないね
目の奥がチカチカ爆ぜる星のようきみが見えない暗闇の中で

胃カメラでのぞいてみてみる腹の中なんにもないとひとりごちる
口癖が愛別離苦のきみだからうそぶくぼくはみじめだろうね
パンを焼きスープを入れる今朝のさまあなたはみてたいとおしげにね
ほしが堕ち夜が終わりをむかえてく二度とまみえぬ覚悟をしている

a.m.2:00真夏の闇は思ったより明るくてまだ眠れそうにないよ
身を隠し爪研ぐ静かな獣でもお前はひとだと言ってくる
だってだってあなたは待っててくれないしあたしは追うしかできないのに
きみをこの世にとどめるはまじないの31字は祈りのように

オレンジのゼリーとジュースを口にする夏をあばいて手に入れるため
きみが着るTシャツの白さまばゆくて今年の夏もざわめいている


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