お前の声がする。 お前がずっと生まれる前から、おれはお前を呪っている。 お前が眠り、目を覚まし、糧を喰らい、人と生き、 見えぬ悪から身を守り、健やかに生き、死ぬまで。 誰よりもお前が幸福になるよう呪っている。 お前はこれを知らないが、お前が生きていくその先で、 もし知る時があるならば、どうか、なんとか生きのびてほしい。 先へ、先へ。お前の声がするその先へ。 願いでは足りない。 まじなうように、お前がずっと知る前から、祈っている。