第五話 波間を漂う海藻



何かが可笑しいと気付いた時にはすでに人はその真っ只中にいるんだろう。私の場合は“時すでに遅し”。きっと引き返せないような場所まで来てしまっているんだろう。






私の記憶が正しければ、私は社会人だったはず。仕事にも慣れて、力の抜き加減が分かってきていた時期だった。単調で微々たる変化しかない仕事はつまらないものだったけれど、私はそれなりにこの仕事が好きだった。残業らしい残業もなく少し早めの定時に帰れるから時間の自由があるのだ。買い物に寄れる、友達と約束して食事をして帰っても明日に響くような仕事でもない。



問題はここからだ。
私は社会人だ。成人式なんてとっくに過ぎてるし、もうそろそろ結婚のことを考え始めるような歳だった、だったのだ。
今の私を鏡に映せば、縮んでしまった身長。小さな手のひら、多少なりともあったはずの体のでこぼこがストンと真っ平ら。

…これはないだろう。
神様なんて今まであまり信じていない存在だったけど、初めてアナタに嘆きたくなりました。私の胸返せやゴラァ。

私は子供じゃない。一般的な大人ではあったはずである、間違いなく。なら何故私の身体は縮んだのか?





3Pカラー
赤色黄色と、私色?





(自分の事なのに、)

何一つわからない事、知らない事、理解も出来ていない事が、酷く怖いことに思えた。









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