日々膨れ上がる想い



結局あれから進展はなかった。
何かここから始まるんじゃないかと期待していたがそうでもないみたいだ。その事に少し落ち込みつつも学校へ。こうなるとどうにかして切っ掛けを作らない事には進むものも進まないと考え倦ねていると、前を歩く後ろ姿に目を見張った。親しくなってあわよくば…と思っている彼女が歩いているじゃないか!どうやら運命の神様はまだ俺を見捨てた訳じゃないみたいだ。とにかく声を掛けよう。


「おはよう、サトウさん」


名前だと馴れ馴れしくなりそうだったから苗字+さん付けで呼んでみたが、なんだかむず痒い。普段周り奴に敬称なんて付けないから尚更慣れない。


「おはよう」


彼女は不思議そうにぱちりと一つ瞬きをしてから小さな声で挨拶を返してくれた。よし、良くやった俺。


「一緒に行っても?」
「構わないけど…」


彼女が言いにくそうにしている先を促した。


「ツツジはいいの?」
「は?」


ヤバイ、今の「は」はないだろう。否それより、なんでそこにアイツが出てくるんだ?そんな自問自答をしていると彼女の方も困惑した表情をしていた。


「は、って。だってツツジは彼女でしょ?」


今度こそ俺は言葉を失った。
無い、それは無い、有り得ない。というかなんでまたそんな勘違いを。


「アイツ彼氏いるけど」
「知ってる。けど紹介されたことはない」


おい。うっかり忘れてんじゃねぇだろうな。…………つか今の今までツツジが彼女だって勘違いされていたのか!?


「違う、違うからな!アイツは彼女とかそんなんじゃなくて」
「え、あ、うん…?」


誤解を解こうと必死になった俺は一歩詰め寄った。











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