窓際から始まった叶う筈のない物語



桜咲く季節、最近ツツジに彼氏が出来たらしい。
本人に確認をとってはいないが間違いないだろう。何時も以上にぽやぽやというか、ふわふわしている。頬が緩んでいるのも分かった。多分その内に私にも紹介してくれるだろう。それまでは何も知らない事にしておく。ただやっぱりちょっと気になる訳で。何気ない会話にヒントがないか探してみたり、日常の生活を観察してみたりした。

そして見つけた、ツツジの彼氏を。
確か彼はバスケ部だったような気がする。名前は…お、おー……オーキド、そうオーキド君…だったような気がするんだけど…。うーん。


「グリーン」


ツツジが彼の名前を呼ぶ。へぇ、グリーンって言うんだ彼の名前は。
窓際私の席から見える渡り廊下で2人は話込んでいる。何を話しているかはここからでは聞こえないがすごく楽しそうだ。




「グリーン…君、ね」


どうしてかな、どうしてだろう?彼の笑った顔が瞼に焼き付いて離れないのは。
この答えは解りきっていた。たった一文字の漢字がぐるぐる脳内の回り思考をぐちゃぐちゃにする中、今の私がはっきりと思える事は一つ、この感情はあってはならないものだと言うこと…。

ねぇ、どうしてツツジの彼氏が貴方だったのかな。
この想いは雨風に弱い桜のように散っていくのだろう。
(咲く事さえ赦されてはいないけど)










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