>>平凡な日常に帰りたい


今のご時世、自動販売機なんて物が空を飛ぶようになったのか。すげー。
いやぁ、世の中って広いなぁ。




「………て、んな訳あるか!」
「お嬢ちゃん大丈夫か?」


もしかして打ち所マズったか?と顎に手を添え真剣に悩み出す、ドレッドヘアーの男性。





今日もまた仕事探しの旅だったのだ。もう疲れたよパトラッシュ…、なんて現実逃避をしながら歩いていた罰だろうか。横から男性が一人、急に飛び出して来て私は突き飛ばされてしまった。随分焦った様子だったが、人にぶつかっといて一言も謝りもしないだなんて…。何様のつもりだ!とその男を見れば、何故か自販機が頭の上を掠めて行った。何故だ、何が起こった。呆然とする私に話しかけてきたのがドレッドヘアーの男性で、そして冒頭に至る。





「どっか怪我は?」
「…無いです」


とことん私は付いてない。昨日、否日付が変わっていたから今日になるのかな?あぁ、面倒くさい。どっちでもいいや。とにかく、折原臨也と接触してしまった後にこれだ。……本格的に引きこもろうかな。


「…トムさん。さっきの奴は向こうで伸びてます」
「おー。静雄、取り敢えず謝ってとけ」


今だ呆然とする私をちらりと見た後、少し頭を下げ、すんませんと謝られてしまった…。正直コワイッス。


「肘擦れてんな」


トムさんと言われたドレッド…もう面倒くせぇ!兎に角トムと呼ばれた男性が目敏く擦り傷を発見した。絆創膏持ってるか?なんて会話をしてる。いや、結構ですから。必要ないです、だからもう解放して下さい。もうめげそうなんです。


「大丈夫か?」
「世間の荒波にめげそうです」


手を引いて起こしてもらい、一礼をする。


「わざわざ、すみませんでした」
「いや、今回はこっちが悪いからよ」
「もう、本当にすいません」
「お前、大丈夫か?」


今すぐ心が折れそうだ。私は面倒くさい事が嫌いなのに…。なんで目の前に平和島静雄がいるだ、コノヤロー。


「今は自販機が空を飛ぶ時代ですか…」
「うん。お嬢ちゃん、やっぱ病院行こうな?」


気にしないで下さい。私は至って正常ですから。ただ精神面が軽くレッドゾーンに突入しかけてるだけですから…。

医者に診せようとする2人をなんとか説得(ひたすら医者は嫌いだ、嫌だ、と言う旨を伝えた)し、やっと帰路に着けた。
帰り際、私がお嬢ちゃんと呼ばれる歳ではない事にふと気付く。ちょっぴりショックだった。そんな幼く見えるのかな?



身も心もボロボロだ。どちらかと言うと心の方がダメージが大きいけど。
ふらふらと覚束無い足取りで帰宅し、帝人君にめちゃくちゃ心配されてしまった。いや、もう…本っ当に申し訳ない。


「ただ、いまぁー」
「うわ!千鶴さんどうしたんです?ボロボロじゃないですか!」
「帝人君、私って幼く見える?」
「え?…あぁ、いやぁー…」


何故今、言葉を濁した。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -