>>運気急降下


星占いや他の占いでも、今日の私の運気は鰻登りらしい。良いこと付くめだよ☆…って言ってたじゃないか!占いお姉さんの嘘つき!!

どうやらいよいよ私は、運命の女神に見放されたようだ。










派手な音を立ててゴミ箱が落下。
あれ?あそこに見えるのは多分、帝人君だと思うんだけどな。なんて今はどうでもいい事をぼんやり考えた。


「し、シズちゃん」
「いーざーやーくーん」


間延びした声も、シズちゃんと呼んだ声もつい最近聞いた。聞いた。しかも話かけられた。まじで最近聞いた。


「やだなあシズちゃん。君に僕の罪をなすりつけた事を、まだ怒ってるのかな?」
「怒ってないぞおー。ただ、ぶん殴りたいだけさぁ」
「困ったな、見逃してよ」

「日常に帰りたい…」


そう、私は日常に帰りたいんだ。もうヤダ、こんな所!今すぐ帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい。私を帰してくれぇー!


「シズちゃんの暴力ってさー、理屈も言葉も道理も通じないから苦手なんだよ」


目の前の広がる光景から意識を飛ばしていたら、帝人君と女の子が1人、一緒に逃げていくのが見えた。…私の反対方向に。待て。置いて行くな。この状況に私一人にしないで!


「いーざーやーぁ!!」







「あれ?」
「あ゛ぁ?」

「………え?」


何故2人揃ってこちらを見ているんだろうか。逃げていい?逃げるよ私?よし、逃げろ私!


「うわぁ!奇遇だね」
「お前、この前の…」


しまった逃げ道を塞がれた!って違う!
うわぁぁああああ!!私の事、覚えてらっしゃる!今すぐその脳内から削除しろ、抹消しろ、存在を消してくれ頼むから!


「顔真っ青だよ、大丈夫?」
「テメェのせいだろ」
「何?何か言った?」
「うぜー」


…注目浴びてる事に関して無関心なのか。止めてくれ、私の何かが今確実に減っていっているから。


「もう大丈夫なのかよ」
「何したのさ、シズちゃん」


ピリピリとした空気が肌に突き刺さる。もう誰でもいい。この際、ヤの付くお仕事の人でもいいから助けて。


「ケンカ、駄目ヨー」


天の助け!と思い、振り向くと。身長は2メートルを超えているような巨漢の黒人さんだった。彼は板前のような格好で片言な日本語を話している。


「寿司イイヨー。オネイサンも喰ウ」


とかなんとか。片手で折原臨也と平和島静雄の襟首を掴み、私の手を取り歩き出す。
あの、行くなんて言ってません。

どうしてこの道を選んでしまったんだろう、私…。夕飯の買い物をして帰るだけのはずだったのに。


あぁ、もう遠い私の日常。
今すぐ其処に帰りたいよ…。



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