傷付けることでしか愛を確認出来ない

 わたしには二年同棲している彼がいる。実家が開業医で自身も医者として働いてる彼は高身長で真面目で綺麗な顔をしていて、そんな人に選ばれたわたしは勝ち組だと周りは言った。

「おかえり真ちゃん」

「ただいま」

「わたし今日ね〜、また浮気しちゃった」

 帰宅した彼に世間話でもするかの様に笑って伝えると、彼はとても傷付いた表情になる。なんで、と震える声での問いかけを無視しリビングへと戻ると、背後から肩を掴まれた。

「何故だと聞いているのだよ」

 彼の方へと向くと、絶望を携えた今にも泣き出しそうな綺麗な顰めっ面がそこにある。その表情を見るとわたしは愛されてるんだと心底嬉しくなるんだ。好きだと言われるよりも、幸せそうにわたしを眺めている彼を見るよりも。
 黙り込むわたしに彼は更に言葉を投げ掛ける。

「俺を嫌いになったのか」

「そんな訳ないじゃん。大好きだよ」

「では何故だ」

「もっと真ちゃんからの愛が欲しいから、かな」

 もっと頂戴そんなんじゃ足りない! と彼を傷付けてまで満たそうとする愛を履き違えてたこのわたしを、それでも周りは勝ち組だと言うの?

2018.2.9


×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -