1三度目

「名前のこと、やっぱどうしても好きなんスよ」

そう言われたのは涼ちゃんと初めて出会ってから8年目の事だった。
涼ちゃんと付き合うのはこれで三度目になる。
二度目のときはわたしが夜の仕事をしていることで喧嘩したり涼ちゃんの繋がり関係で喧嘩したりで疲れて別れてしまった。

昔のわたし達じゃ考えられないけど、今はわたしも正社員として働いていて、涼ちゃんもバンドを辞めて正社員として働いている。
二回目の時の喧嘩の種はなくなったし、順調だ……とは言えなかった。


「名前、このはやみやって誰」

その言葉と共に見せられたのはインスタグラムにわたしが投稿した眠すぎるという言葉を添えたコーヒーの写真。
その下には会社の営業のお兄さんのコメントがあった。

【makoto_hanamiya 眠すぎるというか、寝てるじゃねーか】

花宮さんなに見てる人が勘違いするようなコメント残してくれてるんですか〜。わざとですか〜わざとしそうですね〜。なんて思いつつ涼ちゃんへ答える。

「この人?会社の他部署の人」

「どういう関係かって聞いてんの」

「えっ、だから会社の他部署の人だって。それ以外に言いようがないんだけど」

「じゃあこのコメントなんだよ。なんで名前が寝てるとか知ってんだよ」

涼ちゃんの口調が変わってるから相当お怒りらしい。めんどくせーなー。なんてことは声には出さないように気を付ける。でも表情には出てるかもしれない。

「会社の喫煙所で載せて、そのままうたた寝してたらその人が来たんだよ」

「ふーん?」

「まぁ信じてくれなくても困んないからいいけど」

「ごめん、信じるッス」


そういって涼ちゃんは抱きついてきてわたしの頬に唇を寄せてきた。
最近涼ちゃんは以前に増して嫉妬とか独占欲的なものが増したと思う。
お互いに信頼はしてても信用は出来ない。わたしたちの関係は今でも歪だ。
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