最近かなり寒くなってきた。
なのになんでか上着も持たないでキャミソールで出てきてしまった。
皆長袖着てるし下手したらコート着てる人までいる。
でもコンビニ行くだけだし上着取りに行くのも面倒なので引き返さないことにした。
コンビニに着くまで、道行く人にジロジロと見られたけど気にしない。恥ずかしいとか思っちゃ負け。
鳥肌が立っている腕を摩りながら、ホットドリンクコーナーで微糖のコーヒーを手に取る。
すると、私の頭の上に手が伸びてきた。指先にはテーピングが巻かれている。
その手はホットのおしるこを掴むと引っ込んだ。
おしることか渋い。私はレジに行くついでにおしるこを掴んだ人物を見ると、オレンジのジャージを着た緑髪で高身長の学生だった。びっくりだよ。その歳でおしるこってどうなの。
私は笑いを堪えながらレジに行き、さっきのコーヒーとタバコを2カートン買ってコンビニ前の灰皿があるベンチへと座る。
そこで早速買ったタバコに火を点け、駐車場を何気なくみると、チャリンコに荷台?リアカー?がくっついているナゾの乗り物が止まっていた。
そしてその横にはさっきおしるこを買った学生が着ていたのと同じオレンジのジャージを着た男の子。
え、オレンジジャージの学校の子ってなんなの、面白いことしなきゃいけないとかそういう校則でもあるの。私は耐え切れずに笑い声を上げてしまった。そしてタバコを吸っている途中だったので思いっきり噎せ込む。
「なにあれマジおもしろい」とか爆笑しながら咳き込んでいる私に気付いたのか、変な乗り物を持ってる子は走り寄ってきた。一人で大爆笑してる頭オカシい人間に近づけるとか勇者だ。

「オネーサン大丈夫?」

「ごめ、何あれチャリにリアカーついてるとか、おもしろ、すぎ」

今だ笑いが止まらない私に、目の前の子は恥ずかしそうに頭をかいた。ウケ狙いでやってるんじゃないのか。久々にこんなに爆笑した気がする。

「アレは真ちゃん……チームメイトの提案なんすよ」

「なにその真ちゃんって子頭ぶっ飛びすぎ」

私が爆笑していると、目の前の子は「真ちゃん!」とコンビニの入り口を見て声を上げた。
噂の真ちゃんが見れると私も視線をやると、そこにはさっきおしるこを買っていた緑髪の子がいた。
私はまた爆笑し始めた。もうやだお腹痛い腹筋割れそう。そんな私を緑髪の子――真ちゃんは眉間に皺を寄せてみていた。

「高尾、頭の可笑しい人間に絡まれても無視するのだよ」

どうやらチャリとリアカーの子は高尾くんと言うらしい。そして真ちゃんは毒舌だった。面と向かっていうとか酷い。

「真ちゃんだっけ。失礼な!私は至って正常なオネーサンだよ」

「この寒い中そんな薄着で、しかも爆笑している人間は正常じゃないだろう」

「そういや真夏の格好だなー。オネーサン寒くないの?」

「寒いに決まってんじゃん」

私は上着を忘れてでも戻るのも面倒だったと事情を説明した。すると今度は真ちゃんと高尾くんは呆れた顔で見てきた。テツくんといいやっぱり最近の高校生は生意気だ。

「そもそも上着を忘れること自体人事を尽くしていないのだよ」

「ジンジ?ってなに?」

私が聞くと、高尾くんは何故か大爆笑し始めた。私がバカだから笑ってるのかな。
真ちゃんはジャージを脱ぎはじめ、私に渡してきた。

「風邪を引いたら困る。替えはあるから着ていい」

「ありがとー!ツンデレな人ナマで初めてみた」

「お、オネーサンも真ちゃんツンデレだと思うっしょ?」

高尾くんは私の隣に座り肩に手を回してきた。どうやら仲間意識を持たれたみたいだ。
私は笑いながら貸してくれたジャージを羽織った。かなりデカいけどあったかい。

「ホントありがとねー。でも返すときどうしよっか」

「あ、じゃーオネーサン連絡先教えてよ」

「何故高尾が聞くんだ」

「もう二人とも交換しちゃおうよ」

私は二人と連絡先を交換し、コンビニを後にした。
ちょっとあのリアカーに乗ってみたかったけど、珍しく図々しさを抑えた私は偉いと思う。
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