※微妙にグロありかも

8月下旬、征ちゃんと会う約束をしている私は京都に来ていた。
京都は初めて来たから全くわからなかったけど、とりあえず駅からタクシーに乗ってホテルまではたどり着けた。よかった。
征ちゃんには用事のついでに会いたいと言ったが、本当は用事なんてなにもない。
京都で観光したい場所も特にないから、征ちゃんが来るまでPSPをやって時間を潰す。
ゲームに熱中して一人で騒いでいると、ドアをノックする音が聞こえた。

「はーい」

「僕だ」

外からはやっぱり征ちゃんの声がした。
ゲームを一時中断しいらっしゃいーとドアを開けると、赤髪の美少年が立っている。まじ目の保養になる。
入りなよと促し部屋へと進むと、征ちゃんが声をかけてきた。

「どこか観光したいところはあるのかい?」

「んー、別に。これもうちょいで終わるからてきとーに座って待ってて」

とりあえずゲームが優先。呼び出したのは私なのに酷いヤツである。
ソファーにだらしなく座り、ゲームをしていると征ちゃんが隣に座る気配がした。

「なんていうゲームだ?」

「ただの麻雀ゲーム」

あ、間違えて牌捨てちゃったーリーチ来てたのにー。ぶつぶつ言いながらもういいやとゲームの電源を落とすと、隣にいた征ちゃんは私の顔を見て笑っていた。

「なに?私の顔が面白い?ちょう失礼なんだけど!」

「いや、ゲームしてるときは表情がコロコロ変わるなと」

観察されてたのか。テツくんと同じで人間観察が趣味なの?最近の高校生はよくわからない。
でも、確かにゲームしてる時は素に戻っている気がする。

「征ちゃんはあんま表情変わんないよね」

「そうかな。でも確かによくそう言われるな」

こういうタイプの人間は何を考えてるのか分からなくて少し苦手だ。
無表情の人間の心を読むようなチート能力はない。でも周りにあまりいないから新鮮でちょっと楽しいかも。

「それより、観光したいところもないのに何故僕を呼び出したんだ?」

「んー、癒されたかったからかなー」

最近、テツくんのことを考えるとなんだか心が疲れる。
会えば癒されるのも確かなんだけど、それでも何故か気力を削られるのだ。
だから、どうでもいい美少年を眺めて愛でて癒されたい。やばい私ショタコンなのかな。

「マイナスイオンは発してないよ」

「だいじょーぶ、もう見てるだけで癒されるわ。てかマイナスイオンって単語久々に聞いたんだけど」

一時期流行ったよなーマイナスイオン。なんか若い子の口から聞くとウケる。私もまだ若いはずだけど。

「癒してー、頭撫でてー」

征ちゃんに寄り掛かかると、肩に腕を回し頭を撫でてくれた。柔軟剤のいい匂いがふわりと香ってくる。

「名前さんは年上って感じしないね」

「よく言われる。小学生に同じレベルだと思われてるし」

たまに電車で出かけるときにゲームをしていると、小学生が寄ってきて「なんのゲームしてんのー?」「オレもそれやってる!」とか色々話しかけてきて降りるころには友達みたいになってることがある。名前を教えると呼び捨てで呼ばれるし。普段は大人のお姉さんなんだよ。そう言っても嘘だと思われる。最近の小学生は生意気だ。
征ちゃんにその話をしたら、また笑われた。

「征ちゃんは大人っぽいよねー。しっかりしてそう」

「まぁ名前さんよりはしっかりしてると思うよ」

「そんで可愛げないよねー」

「可愛いと思われても嬉しくないからいいよ」

ホント、淡々と話すし高校生っぽくない。ちょっとからかってみようか。
体を離し、自分の唇を軽く征ちゃんの唇へと押し付けた。

「ファーストキスなんだけど」

動揺もせずにまた淡々と言われてしまい、どうしたら慌てる姿を見れるだろうかと思案する。

「へー、はじめてのチューもーらい。征ちゃんまさか童貞?」

「そうだよ」

当然だとでもいうように、当たり前な顔をして頷かれた。
絶対動揺させてやると悪戯心に火がついた私は、征ちゃんのベルトに手をかける。

「私がもらってあげよっかー」

「別にあげてもいいけど」

名前さんは面倒くさそうな女じゃないしね。そう呟いた征ちゃんに落胆する。もっと慌てたりしてもいいじゃないか。
でもまぁ、いいと言っているのだから、こんな美少年の童貞をもらっておかないと損だとまた唇を重ねた。





ベッドに移動し、向き合って座り征ちゃんの服を脱がしていく。
日焼けしていない白い肌が綺麗で、ちょっと傷つけてみたいなーなんて危ない考えをなんとか押しのけた。

「名前さんは犯罪者になってしまうね」

「征ちゃんが警察行かなきゃ大丈夫だよ」

頬に両手を添え口付けると、征ちゃんに頭を押さえ込まれ、段々と深くなっていく。

「はぁ、征ちゃんってAVとか見てるイメージないけど、大丈夫?やり方わかる?」

征ちゃんがAV見てオナってる姿はどうしても想像できなかった。
いや、健全な高校生なら多分オナニーしないなんてありえないけど。それでも想像できない。

「僕も男だから見たりするに決まっているだろう。多分大丈夫だ」

私の言葉に少し笑い、今度は私が服を脱がされた。
年下の美少年に体見られるってなんだか緊張する。テツくんも顔立ちは整っているが、最初ヤった時は酔っ払っていたから気にならなかった
脱がし終えた征ちゃんは相変わらず笑っていて、下着姿の私は征ちゃんへと密着すると、シーツの上へと押し倒された。

「征ちゃんさー、初めてなのに緊張しないの?」

「しないな」

童貞のいいところは初々しさやぎこちなさだというのに。ちょっとつまらない。
むくれて見上げると、征ちゃんは更に笑った。

「名前さんは僕にドキドキしたりしないのか?」

「いい男は見慣れてるからなー」

まぁホスクラとかでだけど。
征ちゃんは先ほどから笑みを消しもせずに私を見ていた。

「大抵の女性……いや、男もだな。僕の前だと畏まるんだけどね」

「えー、ただのイケメン高校生に?」

「……名前さんとはいい友達になれそうだ」

首筋に顔を埋められ、「友達になるのにヤっちゃうんだ」という言葉は喉に引っかかって出てこなかった。
興奮してきたのか、征ちゃんの荒い呼吸が首筋を掠め、ゾクリとする。
手を伸ばしパンツ越しに固くなったソレを撫であげ、煽ると、征ちゃんはびくりと肩を揺らし顔を上げた。

「触っていいなんて言ってないぞ」

鋭い視線でそう言われ、笑いが漏れる。やっと余裕のない姿が見れた。




やっぱり高校生は元気だ。
三回戦を終えると征ちゃんは私の横へと寝そべり、頭を撫でてきた。

「大丈夫だっただろう?」

セックスの知識があったかどうか、ということだろう。
頷くと、征ちゃんは少し笑みを浮かべている。

「普通によかったよ」

すごい上手いという訳ではないけど、普通に気持ちよかった。初めての割りには上手いかなって感じ。
私のセリフが気に食わなかったのか、征ちゃんの瞳孔が開いた。こえーよ。

「ずいぶんと上から目線だな、頭が高いぞ」

えええええ頭が高いとか時代劇とかでしか聞いたことないんだけど。
征ちゃんは真面目系イケメン男子だと思ってたから、まさかこんな面白い子だとは。
妙にツボに入ってしまい、過呼吸になるんじゃないかというほど笑っていると、征ちゃんが私の上へと覆い被さってきた。

「ちょ、頭が高いとか、ヒィ、や、やめて、面白すぎだから」

「……怒るよ」

瞳孔の開いた瞳で見つめられていたが、やっぱり一度ツボに入ってしまうと笑いが収まらない。
この体勢でキレた男と爆笑してる女ってなかなかシュールなんじゃないだろうか。
第三者目線で想像してみると、更に笑いが襲ってくる。

「ね、ねぇまじもうムリ!おかしくて笑い死にそー」

「名前さんは僕に怒られたいんだね」

「怒っても、怖く、ないから!ねえまじ笑いとめてよ死ぬ」

美少年が怒ってる姿はサマになる。一瞬そんなことを思ったけど、やっぱり頭が高い発言を思い出して吹き出す。
もう私死ぬ。お腹は引き攣るし呼吸は苦しいし、まじで死ぬ。苦しさに身を捩って耐えていると、征ちゃんが私のお腹の上へと座り、首元に手を伸ばしてきた。

「呼吸が止まったら笑いも止まるんじゃないかな」

すでに呼吸困難に陥ってるのに、何その提案。紡ごうとした言葉が発せられることはなかった。
征ちゃんの綺麗な手が、私の首を締め付けたのだ。苦しくて手を外そうと試みるが力がなかなかに強く、外せない。
苦しい通り越してボーっとしてきた頭。
意識が飛びそうになった瞬間、征ちゃんの手が首から離れた。
何回か咳き込むと、相変わらず瞳孔全開で見下され、眉間に皺を寄せる。

「ねえ、私マゾじゃないんだけど」

「関係ないよ。僕を馬鹿にする人間はどんな奴でも痛めつける」

私の中の真面目系イケメン像からどんどん離れていっている。真面目な人間は、他人を痛めつけたりしない。
ちょっと引いてると、征ちゃんは私の首に顔を埋め、歯をつき立てた。

「いったー!」

噛まれた。思いっきり噛まれた。前にテツくんに噛まれた時の比じゃないくらい強く。
私が叫んだにも関わらず、どんどん噛む力は強くなっていってる。

「いた、痛いって、やめて!」

ぶつり。聞こえてはいけない音が聞こえた気がする。そして、肩にぶわりと生温かい感触。

「え、ちょ、痛い。血出てるよね!?」

征ちゃんは私の言葉に耳を傾けず、噛むのをやめる気配もない。
流石に血が出たとなると私も焦る。痛いのは嫌いだし、なによりこれじゃ傷跡が残る。
アザ程度ならばしばらくすれば消えるけど、血が出るような傷跡だと、下手したら消えないこともある。
それは困る。仕事に影響が出るし、私の商品価値が下がってしまう。
大きい絆創膏で隠す手もあるけど、首筋に貼ってるとかキスマーク?ってお客さんに疑われる可能性がる。

「ねえ、まじやめてくれないと私も怒るよ。仕事できないじゃん」

もう痛みなんてぶっ飛んでしまった。数ヶ月程度ならまぁ貯金でやっていけると思うけど、数ヶ月で傷跡が消えてくれるとは限らない。
私の不機嫌な声にやっと顔を上げた征ちゃんの口元は、赤く濡れていた。

「最初に怒らせたのは名前さんだろう?それに、噛み傷で出来なくなる仕事なんてあるのか?」

「キャバだから」

「ふーん。いいよ、傷が消えるまでの生活費は僕が出そう。まだ気が済まないしね」

そういって今度は手首を掴まれ、いきなり膣内に征ちゃんのモノを挿入され、更に手の甲を噛まれた。

「いったぁ……!やっ、」

腰を激しく打ち付けられ、手の甲は強く噛まれ、視界が霞む。こめかみへと流れる涙を見て征ちゃんは楽しげに笑った。
やっと噛むのをやめたと安心すると、征ちゃんが口を開く。

「すごい濡れてきたけど、名前さんマゾの気質あるんじゃない?」

私の方へと体を倒した征ちゃんに、頭を撫でながら口付けられる。
相変わらず激しく腰を打ち付けられ、キスの合間に喘ぎ声が漏れた。

「あっ、やぁ……」

「はぁ、すごい興奮するね」

それはお前だけだ。このドSめ。そう言いたいのに、与えられる快楽が邪魔をして喉を通らない。
癒されたくて京都までやってきたというのに、どうやら人選ミスだったようだ。
だって、征ちゃん癒し系に見えた。こんなの詐欺だ。先ほど癒してもらった以上に気力も体力も削られた。




セックスでカウントするなら、あの後一回のみだったけど、征ちゃんがイッたあとも体を傷付けられた。
一番びっくりしたのは、どこから取り出したのかカッターで太ももを切られたことだ。
深くはなかったけど、結構な幅を切られた。普通に傷害罪じゃん。まぁ淫行罪を犯した私が警察に行くわけないけど。

「てかさー、征ちゃん高校生なのに私の生活費とか払えるわけ?」

「問題ないよ。とりあえずあとで下ろして渡すけど、足りない分は言ってくれれば振り込むよ」

まさかお金持ちか。お金持ちなのか。まぁ金持ってんのは親であって征ちゃんではないんだろうけど。
でもここまでされたんだし、もらえるものはもらっておこう。

「名前さんはいつまで京都にいるんだ?」

「一週間くらいかな」

「じゃあ、ホテルキャンセルしてその間うちに泊まればいい」

「えー、親と顔合わせたら気まずいしやだ」

「京都に来たのは僕だけで、一人で暮らしてるから大丈夫だ」

もう痛いこともしないし。そう笑った征ちゃんはやっぱり美少年だ。
痛いことしないなら、まぁいいかな。美少年だとかイケメンだとかに弱い私は、頷いた。
シャワーを浴びて、洗面所の鏡で首元を確認すると、相変わらず血は滲んでいて皮膚も酷いことになっていた。
噛まれた手の甲は赤黒く変色してるし、太ももにも赤い線がくっきりと残っている。
内ももも噛まれた痕があるし、これをテツくんが見たらどう思うんだろうか。
私は溜め息を漏らした。

そして征ちゃん宅に一週間泊まった最終日。
軽く引くくらいのお金を生活費に上乗せされ、またセックス中に傷付けさせてくれと頼まれた私は、バカなことに頷いてしまった。
この年で女を買うってどうなの。そして年下に買われる私ってなんなの。
そんなことは金とセックスに溺れる私には無意味な考えで、すぐに頭の中から消えた。
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