今日はドマイナーの対バンに来ている。
シャドウ目当てに来たんだけど、チケに記載された出演バンドを見て戦慄した。
なんかカイジョウとLARGEも出演するらしいなにそれ予約したときに他にどこのバンド出るのか見とこうよ私。

涼ちゃんとは今でも週1くらいで会ってるし由孝くんともたまに会っている。
敦くんとはたまーに会ってるけどヤりもしないで友達みたいな関係だ。
シャドウは今日も出番遅いから、カイジョウもLARGEも一番後ろの喫煙スペースで見ることにした。

今日は開場から来たから整番が一ケタ。シャドウの仕切りの子に交渉してテツくんドセンに入れてもらえることになった。
最前で暴れ狂うのは久しぶりだったから楽しみだ。
シャドウのためにタバコ吸ったりして体力温存していると、カイジョウが出てきた。
うわ涼ちゃんのバンドすっごいキラキラ系(笑)だ。なんかバンドマンというより皆ホストに見える。
そしてLARGEのメンバーは皆身長デカくてびっくりした。金髪のボーカルと緑髪の下手ギターもカッコいいし、曲調も私好みで思わず通いたくなってしまった。いや、なんか敦くんのこと知ってんのに通うのは微妙だからやめとくけど。

物販に出てきた涼ちゃんがこちらをチラチラと気にしているのが見えたけど、知らんぷりした。
敦くんも物販に出てきて一瞬目が合ったけど知らんぷり。
色んなバンドを眺めていよいよシャドウの番で、私は荷物を持って最前に向かった。
柵の下にバッグを置き、ヒールを脱いでルームシューズを履く。ライブハウスの床は結構汚いから暴れるつもりの時は絶対に持参。
あー早く出て来ないかな!なんて10分くらい待っていると、暗幕が開いた。

「テツヤぁー」

一番最初に出てきたテツくんに咲くと、指さしてくれた。勘違いじゃないと思いたい。シャドウでテツくんファンは今のところ私とあと後ろの二人だから、もしかしたら後ろの二人を指さしてたのかもだけど。
MC中にテツくんにハート飛ばしたら、テツくんも飛ばし返してくれてホント嬉しい!
私はテンションが上がって柵に乗ってヘドバンしたり、布団したりして暴れ狂う。なんか掲示板で叩かれそうだけど楽しいから気にしない。
シャドウの出番も終わり、私は端っこで化粧と髪の毛を直した。そして物販へ向かう。
物販前で待っていると、肩を叩かれた。

「名前っち今日もすごい暴れっぷりだったッスね」

「あ、涼ちゃん」

「ここ乱れてる」

私に声をかけてきたのは涼ちゃんだった。どうやら髪型が崩れていたところがあったらしく、涼ちゃんが直してくれた。
そして少し離れたところで険しい顔でこちらを見ているバンギャルたちが視界に入った。
そういえばカイジョウのファンもいるんだった。いつも通りのやりとりしちゃダメなんだった。

「ありがとう。じゃあ私シャドウの物販行くから」

涼ちゃんに話しかけられているうちにシャドウのメンバーは物販に出てきていたらしい。
私はいそいそとテツくんのほうまで向かう。

「テツくん、お疲れさまです」

「あ、名前さんもお疲れ様です。また新しい服ですか?似合ってますよ」

「あれ、新しい服だって分かるんですか?」

「はい。同じ服着てるところ見たことないです。今日のも似合っててすごい可愛いです」

テツくんはどうやら毎回私が着てた服を覚えてくれているらしい。営業だとしてもすごい嬉しくて顔が綻ぶ。
そして私はテツくん相手にだけはやっぱり敬語になってしまっていた。多分テツくんも敬語で話しかけてくるからだろう。最近バンドマンに敬語を使うのは赤司さまとテツくんくらい。
私は今日から物販で発売される音源を一枚と、テツくんのチェキをあるだけ全部買った。

「本当はシャッフルでメンバー指定できないんですけど、特別ですよ」

「ありがとう!助かります!あとこれ、マジバのプリカです」

笑顔でお礼を言い、差し入れであるマジバのプリペイドカードを渡すと、お礼を言われちょっと着いてきてくださいと言われて会場内の隅っこまで歩く。

「これ、あんまり写り良くないんですが、プレゼントです」

そう言われて手渡されたのはテツくんのチェキ6枚。

「え、買いますよ」

「いえ、貰ってください。他の子には内緒にしてくださいね」

「それは勿論秘密にしますけど……いいんですか?」

「はい」

テツくんが笑ってくれたのでありがたく貰っておくことにした。チェキ貰えるとか思ってもいなかった。かなり嬉しい。

「あ、さっき買ったCDにサインくださいー」

「はい。じゃあ貸してください」

お願いしますと手渡すと、サインとメッセージを書いてくれた。
『名前さんへ。名前さんは僕の一番のファンです』と書いてくれて思わず泣きそうになる。
これ宝物決定。赤司さまのペットボトルに並べて飾っておく。
私が嬉しさで死にかけていると、テツくんは近くで騒いでいるシャドウファンを一見し、顔を顰めた。

「うるさいですね」

「あ、呼んでますよ?」

「行きたくないです」

「行ってください」

テツくんはあの子たちが苦手なのかな。私は何回かテツくんを呼んでいるテツくんファンの子の元へ行くようにと促すけど、依然テツくんは顔を顰めたまま。

「あ、名前ちーん」

そんなことをしていると、今度は敦くんがやってきた。
テツくんは一瞬目を見開いたあと、「面倒ですが行ってきますね」とこの場を後にした。

「敦くんお疲れさま」

「名前ちん今日シャドウ目当てできたのー?」

「うん、テツくんのファンなんだ」

「へ〜、俺のライブは?みたー?」

「見たよ。カッコよかった」

「マジ?ありがとー」

敦くんはふにゃりと笑った。いつもは可愛いけど、今日は化粧しているからかカッコよく見える。
敦くんと少し話してからライブハウスを出ると、圏外でセンターに止まっていたメールが届いた。
そのメールの送り主は涼ちゃんで、「今日も打ち上げやらないんでどっか近くで待ってて欲しいッス」と書いてあった。
私は了解の意を記したメールを送り、涼ちゃんから電話が来るまでマジバで時間を潰すことにした。
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