前々からチケットを予約していた天帝ライブは女友達1ちゃんと一緒に行くことになった。
待ち合わせ前にヘアメ行って気合は充分。涼ちゃんにお金をもらうようになってから、赤司さまを拝むのにヘアメ行かないなんて私の中ではありえないこととなってしまった。
洋服も下着もおろしたて。ヘアメは天帝だけだけど、この二つはライブに行くときにテンションあがるようにって昔からの私の中でのジンクス。
支度ばっちりで待ち合わせ場所に向かうと、女友達1ちゃんがすでに待っていた。
無事時間通りに合流した私たちは、ライブ前までカフェで時間を潰すことにした。
喫煙席でタバコを吸いながら私たちはいろんな話をした。
といっても当たり障りのない話。正直辰也くんのことを打ち明けていいのか悩んでいた。
そこで、まずはRinGの話題を出すことにした。

「そういえば響ちゃん、RinGの音源どうだった?好きかなぁーって思ったんだけど」

「うん、すごくいい声だったよボーカルの人」

ボーカル、という単語に思わずドキリとした。けど気付かれてはいないはず。
女友達1ちゃんが辰也くんを好きになる前に打ち明けないと。そんな焦りが私を襲った。

「女友達1ちゃん、あとね」

「うん?」

変な焦りが私を急かす。女友達1ちゃんは私の心境に気付いていないんだろう。促されて私は思わず言葉を放った。

「辰也くんは、注意した方がいいよ」

私は言い終わった後、自己嫌悪でいっぱいになった。
私は辰也くんを信じてるのに、女友達1ちゃんが好きなのに。
辰也くんを取られたくないがために、辰也くんを悪者にして女友達1ちゃんに牽制してしまった。
後悔してるのに私の口は止まらない。お願いだから止まってよ。

「もしかしたら、それとなく噂聞いてるかもしれないけど……ホント気をつけて」

「うん……分かった。ありがと!」

女友達1ちゃんは少し間を空けて頷いてくれた。
自己嫌悪と安心感がごっちゃになって思わず泣きそうになる。けど女友達1ちゃんに汚い自分を知られたくない。感情的になって自分の本音を漏らしてしまうかも。
私はトイレ行ってくるねと少しの間席を立った。


 * * *


整番は結構いい。全部忘れてライブは楽しもうって思った結果、マジで全部忘れて楽しめた。
私は相変わらず赤司さまに咲きまくって暴れながらも赤司さまだけを見ていた。
やっぱり私の中で赤司さまはいつでも元気をくれる存在だ。
会場の外でライブの感想を語っていると、いつの間にか出待ちの子たちに紛れてしまっていたらしい。

「アラ、名前ちゃんに女友達1ちゃん?」

声の元へと視線をやると、そこには驚いたようなレオ姉がいた。
どうやら私たちはメンバーが出てくる時間まで語っていたらしい。

「え、レオちゃん?」

女友達1ちゃんは驚いた様子だった。それにしても女友達1ちゃんもレオ姉と知り合いだったとか私そっちに驚き。
私がレオちゃんにお疲れーと声をかけると、レオちゃんの背に隠れるように顔だけ出してこちらを睨む女の子。
もしかして、前に電話先で泣いてた子かな。私が笑みを向けながら「その子が噂の彼女さん?」と問いかけるととふいと顔を背けてしまった。レオ姉はそんな様子に苦笑したあと、綺麗な笑みで紹介してくれた。

「アタシのお姫様の女友達2よ。女友達2、女友達2?」

「女友達2、です……れおちゃんは女友達2のだよ……?」

一応自己紹介してくれたけど、なぜか泣き始めてしまって私は焦った。

「えっ、あっ、嘘、泣かせちゃった!?」

この子、私がレオ姉の繋がりだとか狙いだとか勘違いしてるのかな。なんて言えば泣き止んでくれるかな。私がテンパっていると、女友達1ちゃんが宥めてくれて女友達2ちゃんも泣きやんで、私は安堵の息を吐いた。
それからはいつものノリでみんなで話しして、流れで近々女子会やることになった。
レオ姉も女の人、だもんね。大丈夫女子会女子会。
もう帰ろうかってことになった私と女友達1ちゃんは「ラブラブだったねー」なんて話しながら駅方面へと向かうことにした。
レオ姉と女友達2ちゃんは本当にラブラブで、表面上は笑いながら羨ましいなんて言えても、本当は泣きたくてたまらない。
辰也くんと私は付き合ってるはずなのに、一生二人みたいにはなれない気がした。
私の心境に女友達1ちゃんは気付くはずもなく、私も女友達1ちゃんの表情は見逃してしまった。
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