※お友達のところとクロスオーバー

一人ラブホのベッドでゴロゴロしながら今後どうしようかと悩んでいると、ケータイの着信音が無機質な部屋の中に鳴り響いた。
もし涼ちゃんなら今はちょっと話したくないなーなんて表示された名前を確認すると、想像もしていなかったレオ姉だった。
話も聞いてもらったし、もちろん通話ボタンを押した。
レオ姉だったらどんな精神状態の時でも話せる気がする。

「もしもし?レオ姉?」

「名前ちゃん、今大丈夫かしら。ちゃんと無事に帰れたか気になっちゃって」

どうやら心配して電話してくれたらしい。
今一人でラブホにいると言っても余計に心配かけちゃうだろうし私は頷くことにした。

「ゴロゴロしてたとこだよ。レオ姉も帰ったの?」

「えぇ……ちゃんとおうちには帰れたのね?」

「うん。レオ姉に言われた通りこの先どうしようか考えてたんだ。まず涼ちゃん怒ってるのどうにかしなきゃ……」

「本当に大丈夫なの?」

レオ姉がそう発してすぐ、「レオちゃん……」と呼ぶ可愛らしい女の子の声が電話先から聞こえた。
なぜか女の子は泣き出してしまったらしくレオ姉はいつも以上に優しい声で宥めている。
彼女さんかな。レオ姉は完璧に心は女の人だと思ってたからちょっとびっくり。
そしてもしかしてというかもしかしなくても女の子が泣いてるのは私とレオ姉が電話してたのが理由だと思う。
申し訳ない、本当申し訳ない。

「ごめんなさいね。ちょっと待っててくれる?」

レオ姉がそう言ったあとゴトリという音が響いた。
途中で電話切ってもよかったのに、それをしないレオ姉は本当に私のことを心配してくれてるんだなって思ったら少し心が温かくなった気がした。
レオ姉と女の子のラブラブなやりとりを聞いていると、私も人肌が恋しくなってくる。
そこでふと思い浮かぶ顔はやっぱり辰也くんだった。夕方まで一緒にいたのに、会いたい。
でも辰也くんはスタジオ練習だって言ってた。もしかしたらもう終わってるかもしれないけど、疲れて家に帰って寝てるのかもしれない。
そんなことを考えていると、レオ姉の声に引き戻された。

「もしもし?ごめんなさいね」

「こっちこそ心配かけちゃってごめんね。もう大丈夫なの?」

「えぇ、もう大丈夫よ。私のお姫様がグズっちゃって」

フフッと笑いを漏らしたレオ姉はとっても彼女さんを好きなんだなぁってこっちまで笑みが零れる。

「溺愛してるんだねー」

「可愛いのよ、とっても。機会があればちゃんと紹介するわね」

「本当?友達に、なれたらいいな。電話本当にありがとう。何か進展があったら連絡するね」

彼女さんに悪いだろうと早めに会話を終わらせ、ケータイを枕元に置いて体の力を抜いた。
レオ姉は私のことを信じて彼女さんの存在を話してくれたのだろうか。
普通一介のギャに彼女の存在バラさないよね。レオ姉は私たちは友達だと言ってくれたのに、信じきれていなかった自分に気付いて自己嫌悪した。
それにしても彼女さん羨ましいなあ。辰也くんに私は彼女だとは言われたけど、辰也くんはこんな風に私のことを他の人に話してくれないと思う。
涼ちゃんなら?そんな思考に至りそうになって首を振った私は頭まで布団を被って寝ることにした。
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