和成くんと清志くんと別れて一ヶ月。
相変わらず私は稼いで金を手に入れてはあちこちのホスクラに顔を出していた。
なんだか毎日がツマラナイ。充実してるはずなんだけど。
そんな感じで最近ツマラナイからって今日はホスクラに行く気にもなれず、仕事帰りに始発が出るまで駅前広場の花壇に腰掛けてボケーっとしていた。
あーそういえば柔軟剤がなくなりそうだったんだ、なんでドラッグストアって朝やってないの。ネットで頼もうかな。なんてケータイを弄りながら考えていると声をかけられた。
「名前ちゃん、久しぶりだな」
「ん?アレー、清志くんじゃん。どーしたの?」
視線を上げると片手をあげてこちらに寄ってくる清志くんがいた。清志くんの姿を見るのは久しぶりでやっぱイケメンだなぁって感心。
タバコを取り出しながら私の隣に腰掛けた清志くんはダルそうに火をつけた。こんな姿でさえ絵になるんだから良い遺伝子を持って生まれた人って羨ましい。
「キャッチ。そっちは?」
「始発待ちー。てかナンバーワンがキャッチとかなんかウケるんだけど」
「あ?俺のキャッチは華麗だって有名なんだよ」
「華麗って!」
清志くんって言うこと結構面白かったりするよね。
私が笑うと清志くんの動きが止まり、タバコの先から灰が落ちた。
「あー、やっぱタイプだなチクショー。名前ちゃん寄り戻そうぜ」
「えー、こんな性格悪い最低オンナやめたほうがいいって」
付き合う前も別れるときも結構ひどかったと思う。なのに寄り戻したいなんて実はエムなの?なんなの?
「俺もそー思うわ」
「あ、思ってるんだ」
私が笑うと清志くんも苦笑した。わかってるんなら諦めたほうがいいよ。
清志くんみたいなイケメンだったらもっといい子彼女にできるよ。
そう思ってるのに口からはまったく別の言葉が出た。
「んー、じゃあ私のことオトしてよ」
「そう言ってくれるって事はまだ脈あるワケ?」
「どーだろーね。ま、がんばって!」
私の言葉に清志くんは呆れたような表情を浮かべたあと、子供っぽいかわいい笑みを浮かべた。
きっと私はイケメンな清志くんを手放すのが惜しくなっちゃったんだ。だからこんなこと言ったんだと思う。
付き合ったり束縛されたりはめんどくさいくせに、今まで通り好かれていたいのかもしれない。
私はいつまでこんなことを続けるつもりなんだろう。