「大輝聞いて〜、私彼氏できたんだ!」

嬉しそうに報告してきた名前にグラスを落としそうになった。
最近来る頻度が少なくなったと思っていたら、彼氏出来てたのかよ。
動揺を悟られないようなるべく平静を装い言葉を返した。

「は?リア充は爆発しろ」

「えー、祝ってくれてもよくない?」

祝えると思ってんのか。俺の気持ちも知らない名前からしたら、祝ってもらいたいんだろうけどよ。
俺は名前に惚れている。きっかけは自分でもよくわからねー。
顔は普通の範囲内、でもおっぱいはおっきい。性格はバカでアホ。惚れる要素っつったらおっぱいだけじゃねーか。おっぱいに釣られたのか俺。
初めて店に来たときから多分気に入ってはいた。だっておっぱいでけーし。
最近はおっぱいだけじゃなくて顔もすげー可愛く見えるし性格さえ可愛いと思う。明らかに末期症状だろコレ。
そんな感じで出会って間もないうちにすぐ好きだと自覚し、でもどう接したらいいかわからずにいたらなんか友達みたいな関係になっちまった。
店外に誘われても「休みの日まで客に時間使いたくねーよ」とか言っちまった。アホか俺。好きな子に冷たく接する小学生か。
正直店に来なくていい。店の外で会いたい。けど実際にはそんなこと言えねーとか女々しすぎんだろ。翔一さんにこんな俺に気付かれたら目の前で女々しくて踊りやがりそう。寧ろシャンコを女々しくてにしそう。うわー考えただけでウゼー。
俺はバカだから名前の彼氏がホストだって聞いても止めてやれなかった。
ソイツの名前を聞いてホストの間でも評判の悪いヤツだと気付いても何も言ってやれなかった。
嬉しそうに笑う名前を見たら忠告さえ出来ねぇよ。


 * * *


「お前彼氏とは上手く行ってんのか?」

彼氏が出来たと聞いてから二週間。なんだか名前はやつれていた。
名前はタバコを吸いながら笑って言った。

「わかんないー。多分向こうは宿カノだとでも思ってるんだとおもうよ」

その痛々しい笑顔にどうしていいかわからなくなる。女の扱い方って本とかねーのかよ。漫画しか読まねー俺でもあったら絶対読むから誰か出してくれよ。
多分俺は情けない表情をしてるんだろう。名前が俺を見て首を傾げたから頭を撫でた。

「しょーがねーからなんか愚痴ある時は聞いてやるよ」

「大輝やっさしー!大輝以外に彼氏できたこと言ってないから助かる」

「女友達にも言ってねーの?」

「うん、基本的にそういうのあんま言わないから」

俺だけに話してるってことに喜んでいいのか悲しんでいいのかわかんねーんだけど。
でも名前が俺を選んだなら、俺は名前が笑顔で居られるように支えてやりたい。
そんな優男みたいなことを思った俺は名前の笑顔に惚れたのかもしんねーな。
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