※本編開始前の本編夢主の話で灰崎の口調が迷子

私は昼間やってたバイトを連絡も入れずにまた飛んだ。
今回のバイトはコンビニで結構楽だったんだけど、毎度の如く数日しか続かない。
実家暮らしだったけど、とうとう親に出てけと言われてしまった私は軽いノリで「よし、風俗で働こう」とデリヘルで働き始めた。
店泊オッケーな店だったから、ほとんど店で寝てそのまま支度して客が待ってるラブホに行ってって生活をした。
休みなしで働いていると一ヶ月もすれば引っ越し資金なんてすぐに貯まったから地元で保証人不要のアパートを契約した。職場は遠くなったけど多分問題ない。
なぜか風俗の仕事は続けられたからもう若いうちに風俗で働きまくって貯金して、その金で今後生活していこうなんてアホな計画たてたり。
デリヘルの仕事がしんどいと思ったことはなかった。店長とかめっちゃ優しいし、怒らないし。
客もキモいヤツとかしつこくてウザいヤツとかもいたけど、それでも辞めたいとは思ったことはない。
たまに働くのが面倒くさくなることもあるけど、同じ価値観を持っている親友も働きたいと言い出して同じ店で働き始めたら面倒だと思うことも滅多になくなった。
優しい店長の職場で、待機中は親友とバカ騒ぎして、楽に金を稼げて毎日がハッピー。
そんなことが日常になった頃、職場の女の子にホスクラ楽しいよって薦められた。
黒服に待機所の最寄駅まで送ってもらえるけど、始発まで時間を潰さなきゃいけない。
女友達と毎回漫喫で時間を潰していたので、どうせいつも時間余ってるしホスクラの二部でも行ってみようかって軽いノリで行くことになった。


 * * *


一週間前にオープンした桐皇という店が最寄駅にあったからそこに入ることにした。
ホスクラは初めてだったけど、女友達が一緒だから緊張も不安もない。
私たちが二人揃うと怖いものなんてなにもなかった。
席に通されると、なんか色黒コワモテなヤツと逆に気弱そうなヤツが卓にきた。

「大輝だ、よろしくなー」

「良です、僕なんかがご一緒でスイマセン」

なんか見た目通りなんだけど。私と女友達は思わず爆笑しながら名刺を受け取った。
トランスがひっきりなしに流れていて騒がしい店内も、目の前の大輝と良ちゃんというホストも、全てが私の想像通りで、でも想像以上に楽しくてまた来ようとすぐに決めた。

「なー、連絡先教えてくれよ」

お茶割りを飲みながらタバコを吸っていると、大輝がスマホを取り出して私の肩を抱いてきた。

「いいよー!はい」

自分もスマホを取り出してIC送信。その日は初回料に収まる時間で帰宅した。
大輝からメールが来て返したり電話しているうちに、なんかすぐ仲良くなれた。さすがホスト友好的。
何回か桐皇に行っていると、大輝とアフターが恒例にもなって。毎日が本当に楽しい。
なんか仕事で頑張った分、ホスクラで楽しみたいと思うくらいにはハマってしまった。


 * * *


二ヶ月経って、大輝とはなんか親友みたいなノリになっていた。でも相変わらず桐皇には通ってるし多分友営ってヤツだろう。
そして桐皇以外のホスクラはまだ行ったことがない。
私は大輝が休みの日に他のホスクラへ一人で行ってみようと考え、思い立ったら即行動!と桐皇の近くにあるFUKUDAというホスクラへ出向くことにした。

「名前っつーんだ?俺祥吾。ヨロシクなァ」

私の卓についたのは、ホストというよりもチンピラって言葉の方が似合うコーンロウの男だった。
なんか微妙だなーなんて思っていたのに、話しているとすぐに私は祥吾のことを気に入った。
ホストは桐皇の皆しかしらなくて、色恋かけられたのも新鮮だったのかもしれない。
祥吾を気に入っちゃったのは、昔からDQNに惹かれるダメ男ホイホイな女だったからしょうがないと思う。

「今日俺もう仕事したくねェから店抜けようぜー」

「え?」

「支度してくるからイイ子に待ってろよ」

そしてなぜか店外することになってしまった。罰金とか大丈夫なのかな。そしてやる気ねー男だな。まぁそんなところも祥吾に似合っていていいのかもしれない。
私はこの数時間でなぜか祥吾にガチ恋してしまった。


 * * *


祥吾に連れてこられたのはラブホだった。
睡眠をとるためだけに大輝とアフターで毎回行ってたから、祥吾もそんな感じかなーって思ってたけどどうやら違ったらしい。
押し倒された私はされるがままになる。ヤるとは思ってなかったけど、風俗で働いて感覚が狂っていた私はイヤだとも思わない。
そんな感じで流されてヤったあと、私は祥吾にくっついた。ヤったあとはなんかくっつきたくなる。

「ヤったあとくっつかれんのって男は嫌いだからやめたほうがいいぜェ?」

「あ、そうなの。ごめんね」

ちょっと寂しかったけどウザいとか思われたくないしって離れる。私は気を紛らわせるためにタバコを吸うことにした。

「聞き分けいいなー。なぁ付き合おうぜ」

マジバ行こうぜ的なノリで言われちゃったよ。でも私はかなり祥吾を気に入っている。頷かないワケがなかった。

「うん」

「マジ?じゃあさー、俺今寮暮らしだから名前ん家で一緒に暮らそうぜ」

「え、こっから電車乗って更に乗り換えだよ?」

「別にそんくらい平気だろォ」

「いいならいいけど……」

私は好きになったら出来るだけ一緒に居たいし問題ない。でも付き合ってすぐに一緒に住むことになるとは思わなかったよ。正直めっちゃ浮かれてた私は宿カノっていう単語が頭に浮かぶことはなかった。
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