※清志番外編。宮地と彼女(名前出てきません)の話で本編夢主も出てくる。


清志と出会ったのはホスクラで、当時新人だった清志に金を落としまくってエースになり、なんとか私は本カノの座まで登り詰めた。
最初はキャバ嬢だったけど、顔がそこそこだった私はキャバクラで清志に使う大金を稼ぐことは無理だった。
だから風落ちまでした。最近は清志がナンバーワンになって秀徳に行くことはほとんどなくなったけど、それでもバースデーくらいはシャンパンタワーとか派手にやってあげたい。そんな思いから汚い客のちんこ舐めて私は頑張っていた。
そういえば、確か系列店の子が秀徳行ったらしい。清志指名すんのかな。それなんか嫌だな。
本当は私だけの清志になって欲しいのに、天職だと笑う彼に私が養うからホストやめてなんて言葉は未だ言えずにいる。

「ねえ、うちの系列店で働いてる子が秀徳行ったらしいよー」

「お?どんな子ー?」

清志は私の部屋でゴロゴロしながらスマホを弄っている。一緒にいるときくらい客にメールすんのやめて欲しい。
でも清志がこの話題に食いついてきたので私は系列店のサイトを開いて宣材写真の画像を清志に見せた。
こんな話題でしか反応してくれない清志に、自分が惨めになってくる。
薄くモザイクがかかっているからか、清志は一瞬悩んだあと声をあげる。

「名前ちゃんか!すげえ好みでさ、この子相手なら俺も風俗使っちまいそうだなー」

そういって笑った清志に呆然とした。
清志は私のスマホでその子の宣材写真を何枚か見て相変わらず笑っている。

「は?」

「お前と違って胸デカいし、同じ店じゃなくて良かったんじゃねーの?いくら人気あるお前でも絶対指名数抜かされるって」

清志は私になら何を言ってもいいと思っているのだろうか。
目頭が熱くなってきて思わず台所に走り込むと、清志の溜め息が聞こえた。
追いかけてもこない。面倒くせーとか思ってるんだろうな。私は自分の存在価値がわからなくなった。


 * * *


次の日、系列店だからか同じビル内に入っている、自分の店とはまた違う待機所へと来ていた。
原澤さんが「こっちに何か用ですか?」と訝しげな視線を向けてきたが無視して、待機室であるリビングへと向かう。
リビングについて、すぐに清志が言っていた子がどの子かわかった。
確かに周りにいる子よりは全然可愛い。けど芸能人並みに可愛いか考えたら多分そこまでは可愛くない。
この子はデリよりキャバで働いたほうが稼げるんじゃないか?くらいの可愛さ。
自分の顔を差し置いて品定めしながら、近づく。
ソファーの隅で漫画を読んでいたその子――名前が私に気付き顔をあげ、目が合う。

「ねえ、あんたが名前?秀徳行ってんでしょ?」

「は?あー、初回行っただけだけど」

「私の清志取ったら許さないから」

そう言って睨むと、彼女は漫画を閉じめんどくさそうに溜め息を吐いた。

「で、誰?清志くんのエースかなんか?」

「ここの系列店で働いてる清志の彼女だよ」

「そーなんだ。別に取る気とかないしホストに本気になるとかバカ女のすることだと思ってるから安心してよ」

名前は人懐っこい可愛い笑みを浮かべたけど、言葉の端々にトゲがあった。
バカ女って確実に私のこと言ってるよなコイツ。頭に血が登り、掴みかかろうとすると原澤さんが焦って間に入ってきた。

「原澤ちゃーん。部外者入れたの誰?系列店の子だからって入れていーの?」

「いや、彼女も以前はこっちの人手が足りないときに来てもらっていたので」

「ふーん。さっさと追い出して。あ。また来られたら迷惑だから言っとくけど、私もう清志くんとメールもしないし指名もしないからマジ安心してね」

原澤さんに宥められ、自分の店の待機所まで連れられた。
何あの子、性格悪い。確かに可愛いけどあんな子より私のほうがいいじゃないか。そうモヤモヤした感情に捕らわれながらまた汚いクソオヤジのちんこ舐めて、指を入れられ感じているふりをした。
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