清志くんと付き合い始めて一週間。
長時間指名してくれてた客が居なくなるのはちょっと痛いなーって思ってたけどまた清志くんは店を通して呼んでくれた。
なんか私のお金の心配してくれたらしい。そして私が仕事中でも一緒に居たいらしい。
ホントどうしてこんなに好かれたのかわかんないんだけど。
そんな感じで清志くんとの関係は以前とそんな変わらないから(といっても店外でちょくちょく会うようにはなったけど)、私もいつも通りホスクラ通いはやめない。
そんで和成くんともまた遊ぶ約束をした。たまに清志くんが急に家に来るから、家には呼べなくなっちゃったけどね。

「今日名前ちゃん家行っていいっしょ?」

夜、地元駅にあるカラオケで和成くんと酒飲みながらぐだっていると、頭を抱えたくなるようなことを言われてしまった。
いや別に本当のこと言っても困んないよね。私は清志くんと付き合うことになったということを伝えることにした。

「ごめんね、清志くん来たら困るしムリかなー」

「え?は?清志さん?なんで?」

和成くんは見るからに驚いている。持っていたグラスが落ちそうになったから私がキャッチした。ナイスキャッチー!って言ってもスルーされてまじ悲しい。

「なんか付き合うことになったんだよね」

「え、冗談っしょ?」

苦笑いで私の手を握ってきた和成くんはどうしても清志くんと私が付き合い始めたのが信じられないらしい。
私だってたまには彼氏の二人や三人作ったりもするよ。ひどい。

「なんかその場の流れで付き合うことになっちゃった」

「清志さん名前ちゃん趣味カノにしてーとか言ってたしやめとけって」

「別に趣味カノでもなんでもいいー」

なんか清志くん盲目な人みたいな言い方になってしまった。
和成くんは私の言葉に無表情になり、握っていた手の力が強まった。

「名前ちゃん清志さんのこと好きなの?」

「別にー。たまには彼氏作んのも悪くないなって思っただけ」

「ふーん。じゃーいいけど」

なにがいいんだろうか。別に和成くんの許可とる必要ないしわけがわからない。
和成くんのセリフが少し気になったけど気にしないことにした。
テーブルに置かれたブラッディメアリーを一気に煽ると、和成くんもシャンディーガフを煽り始めた。


 * * *


あのあと和成くんは大量の酒を飲んで案の定潰れてしまった。
和成くんと飲むたびに介抱してんのは気のせいじゃないと思う。
支えながらなんとか近くのラブホに入り、和成くんをベッドへと誘導し、自分も横になった。

「名前ちゃんってさー」

「んー?」

「まじで清志さんのこと好きじゃないの?」

「和成くんの方が好きかな」

これは別に嘘でも冗談でもなく事実が口から零れた。お前だけ営業なノリも入ってるけど。
私の中では大輝>和成くん>清志くんという優先順位がついている。
大輝の性格と清志くんの見た目が合わさったら多分ガチ恋するなとか思ってる私は正真正銘のアホ。
和成くんは私の言葉に抱き付いてきた。

「まじー?俺も名前ちゃん好きー」

「じゃあ相思相愛じゃん」

「清志さんと別れて俺と付き合おうぜ?」

「和成くん彼女いんじゃん。前清志くんの元カノと揉めたりしたしもう勘弁ー」

和成くんは私の言葉に赤い顔を顰めてなんだか唸り始めた。
なんか最近ホストに色恋かけられる率が高すぎる。高価な時計だってバッグだって身に着けてないしホストホイホイな格好ではないんだけどな。
どうせ皆本気じゃないってことはわかってる。清志くんでさえもしかしたら本気じゃないかもしれない。
それなら私だって軽いノリでいいはず。間違ってないはず。

「じゃーお互い恋人に内緒で付き合おっか?」

こんなセリフを吐いた私は正直とてもこの状況を楽しんでいた。
清志くんにバレたら殴られんのかなーなんて一瞬思ったけどそれさえも楽しめる気がする。
笑っている私に対して和成くんは無表情で頷いて抱き締めてきた。
大輝相手にこんなこと言ったら小突かれて怒られるんだろうなって思ったらなんだか少し気落ちしてしまったのはなんでだろう。
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