平日の夜。
3DKのうちの一部屋、ババアの部屋兼居間で兄貴と酒盛りしていると、兄貴が声をあげて立ち上がった。

「祥吾お前さぁ、ババアの昔の写真見たことあっか?」

「昔の?俺たちが産まれてからのしか見たことねぇな」

「マジかよ、ウケるから見た方がいいぜ」

兄貴は押し入れを開き、奥の方から一冊の古びたワインレッドのアルバムを取り出した。表紙にはなんかババくさいウサギの絵が書かれている。
俺の隣に座った兄貴は早速ページを開いた。
一ページ目目から俺は笑う羽目になった。

「ちょ、ソバージュに制服ロンスカとかスケバンかよ」

「口紅が紫だぜヤベェ」

ババアの周りにいる女達も同じような感じだ。時代を感じる。
兄貴と一緒に爆笑しながらページをめくっていると、更に酷い一枚が出てきた。
原チャリの前でウンコ座りして、手に持ったビニール袋を口につけてる。

「シンナーかよ」

兄貴は爆笑だ。俺も爆笑。シンナーにまで手出してたとか俺らよりヒデェじゃねぇか。
他にも、親父(まぁ既にババアと離婚してるが俺達の親父には変わりない)の学生時代の写真とかあった。
シャツインした坊主に紛れて、開襟シャツの裾を出して薄っぺらい革鞄を持った金髪が親父だ。
高校生にも見えるが、親父が中卒だった事を思い出した。
子が子なら親も親だ。カテーカンキョーって大事だな。

写真の中のババアはどれも楽しそうだ。今度カラオケに付き合ってやってもいいかもしれない。
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