とりあえず現状を書き出そう。と赤司が言うと、灰崎がピンク色のメモ用紙を投げつけた。
「灰崎にしては随分と可愛らしいな」
「オレにこんなの好んで使う趣味ねーよ! カノジョのだよ」
遠慮なく使わせて貰う。と現状を周りに確認しながら書き出す赤司。
書き終えると、セロテープでロッカーへ貼り付けた。
現状 発見時間→居残り練習終了後
発見場所→レギュラー用部室の戸棚の中
(部誌の前に置かれていた)
発見者→緑間真太郎
いつ置かれたか?→
誰が置いたか?置けるか?→
犯人→
犯行動機→
「まず、反抗時間を絞り込んで誰が犯行可能かを考える必要がある」
メモをトントンと叩き言った赤司に、青峰が「探偵みてえ」とワクワクした表情を浮かべた。
「昨日の部誌当番は誰だ?」
緑間がそう問うと、黄瀬が手を挙げた。
ちょっと待って! と黄瀬が戸棚を開け部誌を取り出してパラパラとページを捲り、
皆へと見せた。
「黄瀬の字だな」
「黄瀬は犯行可能ということなのだよ」
「待って! 赤司っちに急かされて部誌急いで書いて仕舞ったんで、赤司っちその時見てくれてたはずッスよ」
「あぁ、黄瀬が部誌を仕舞う所を見たが、何か別の物を持っていたりはしなかった」
「オレたちが最後だったんで赤司っちが鍵閉めて、一緒に職員室まで鍵返しに行ってから校門まで一緒に歩いたッス」
昨日の部誌当番の黄瀬のアリバイが赤司によって立証されると、緑間は言った。
「お互い変な様子を見せていなかったか?」
「あぁ。オレと黄瀬は帰宅前にお互い変な様子はなかったと言い切れる」
「では、犯行は今日の朝から発見までに絞られるということか」
緑間がメモへと犯行推定時刻を[本日朝
発見前]と書き込む横で、灰崎が帰りたそうに欠伸を漏らした。