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「赤ちんさー。覚えてる?」
「何をだ?」
「ゴム見つかった時言ってたじゃん。初めて見たなって」
「言ったが、それがなんだ?」
「こうやって犯人探し始まるのがわかってて容疑者にならないようワザと言ったんじゃない?」
紫原の一言で、疑いの目は自身から赤司へと移った。赤司なら有り得るというのが全員の見解だ。
「オレの物でもないのに、わざわざ牽制する必要があるか?」
「赤司彼女いるよな」
そういえば、と思い出したように灰崎が言う。すると赤司がすぐに反論した。
「待て、オレは童貞だ! デートでさえ緊張するのに、手を出せるはずがないだろ!?」
「おお、ゴム買ってあるしついにヤんのか」
「だからオレじゃない!」
「あの赤司サマがこんな安っぽいモン選んで買うなんて、高級品は薄すぎて早くイっちまうからか?」
「赤司早漏かよ!」
灰崎が面白いものでも見つけたかのようにからかい始める。それに青峰も便乗した。
「オレでも怪しいなら、黒子だって怪しいだろう!」
その赤司の悲痛な叫びに、黒子の存在を忘れていた皆の視線が、黒子を探すように部内を彷徨った。