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暫くして、緑間が椅子から立ち上がった。
「オレよりも、紫原の方が怪しいのだよ!」
いきなり名前を呼ばれた紫原は、ハァ? と心外そうな表情を浮かべ立ち上がった。のそりのそりと巨体を揺らしながら緑間に近付く。
「オレのどこが怪しいワケー?」
「お菓子と間違えて買った可能性があるのだよ」
あぁ、有り得そう。全員がそんな眼差しで紫原を見る。紫原はそんな様子にムッとした表情で言った。
「ゴムくらい知ってるしー」
それに、そう続けようとする紫原にまだ視線は集まったままだ。
「オレこんなちっちゃいサイズ使えねーし」
紫原は巨根アピールをしながらちらりと赤司を見た。つられて視線を向ける赤司以外の全員。
「何故オレを見るんだ」
「赤ちんは普通に使えそうなサイズだよね」
苦虫を噛み潰したような表情になっている赤司に対し、紫原が更に追い打ちをかけ、部室内が凍りつく。赤ちん粗ちんって語呂良くね? と誰かがぼそりと言い、それが聞こえてしまった灰崎がまたもや笑い転げた。