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 青峰に名指しされたのは緑間だった。本人が否定するより早く、赤司と黄瀬が言う。

「緑間はないだろう」

「青峰っち、さすがにその逸し方は苦しいッス」

 二人の言葉に周りが頷く。紫原に限っては、飽きたのかうんうんと右から左へと聞き流しながらお菓子を口に含んでいるが。
 周りの反応に緑間はまんざらでもなさそうな表情を浮かべた。

「ちょ、オレの話を聞けって。オレ知ってんだぜ。――今日のおは朝占いの蟹座のラッキーアイテムが、ピンクのゴムだって事をなァ!」

「それがなんだと言うのだよ」

 訳がわからないと呆れた表情で言い返した緑間に、青峰が畳み掛けようとするが、灰崎に遮られた。

「おー、このゴムピンクじゃん」

 先程の青峰の台詞を聞いた瞬間に、灰崎はテーブルの上に鎮座していたコンドームの箱へと手を伸ばし、一つ開封していたのだ。

「しかもすでに箱開いてた。オレが出したのとは別に一つ減ってたぜ」

 灰崎の衝撃発言に赤司が目を見開き、そして緑間の方へと視線を移した。

「まさか緑間、今装着して……」

 そう言い、複雑な表情を浮かべる赤司に緑間は青筋を立てながら声を荒げた。

「いない! のだよ! ほら! ちゃんとヘアゴムを腕につけているだろう! ふざけるな!」

 腕を赤司の眼前へと掲げ、その手首に纏わりつくピンク色のヘアゴムを見せつける。

「ラッキーアイテムの質にも拘る緑間が、そのヘアゴム一個で済ませてるっておかしくねーか?」

「ミドチンまじ付けてんのー?エッチー」

 否定も虚しく、青峰と紫原がにやつきながらからかい始め、そして灰崎もからかいには加わらないものの、ベンチを占領し笑い転げながらケータイを弄っていた。

「そもそもコンドームとは平常の状態で付けたままでいられる物なのか?」

 緑間の問いかけには黄瀬が答えた。

「萎えたまま付けてたらすぐ取れるッスよ」

 青峰と紫原は黄瀬を一睨みし、つまらないと嘆く。

「つまるつまらないの問題じゃないのだよ! オレは装着などしていない、無実だ!」

 赤司の一言で散々な目に遭った緑間は、ぐったりとしながらテーブルの前にあった椅子へと座りしなだれかかった。
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