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一つメモの項目が埋まり、次は何を確認すればいいと思い悩む面々に、黒子が言った。
「何故この戸棚に置かれていたか、も重要じゃないですか?」
「そうだな、此処に置く必要があったのか?」
扉付きの戸棚の上段には部誌やバスケ雑誌やバスケの専門書が整然と並んでいる。そして中段には将棋やオセロ、TRPGのルールブック等のアナログゲームが仕舞われていた。下段には携帯型のコンピュータゲーム、写真集、漫画本、写真集等の没収品が詰め込まれている。
「一個なくなってたんでしょー? 没収品から取ってそのまま箱戻し忘れたとかはー?」
紫原がそう言うが、赤司が首を横に振る。
「まず、没収品は虹村さんがリストにして管理してる。そこから取ろうという猛者はいないだろう」
「そりゃそーだ。オレだってゲーム返して貰えてねえし」
そう言いながらピコピコと携帯ゲーム機を操作している灰崎を見た数人で「何で没収されたのに持っているんだ?」「また買ったのか?」「まさか他の人間から無理やり奪ったんじゃ……」とのやり取りがなされたが、カツアゲというコンドーム発見並みの問題が増えそうなのですぐに口を閉じた。
「何故此処に置かれていたかを考えても埒が明かないな。追々考えるのだよ」
「そうだな……。今日のアリバイ確認から行った方がいいか」
緑間の言葉に全員が頷いた。