和成からの電話とメールはほとんどスルーしていた。にも関わらず、夜中にショーゴが寝ている横でゴロゴロしながらmixiを見ていたらうっかり出てしまった。

「もしもーし」

 なんとも機嫌の良さそうな声である。そのままガチャ切りしてしまおうか迷っていると、更に声が聞こえた。

「なあ、いい加減機嫌直せよー」

 え、嫌なんだけど。心の中で思っていたつもりが口に出していたらしい。

「オレももう怒ってねーし、な?」

 宥めるような声色で言ったって、いつものようになあなあにすると思ったら大間違いだ。
 とりあえずショーゴが起きないようにと静かに上半身を起こして布団から出ようとすると、腰に腕が巻き付いた。

「名前どーしたァ? 電話か?」

 ショーゴが寝ぼけた声で言った。えっまじか。このタイミングで声出しちゃう系?
 そう思いつつ、「男と居んの?」と声色の変わった和成の方へ苛立ちを感じる。
 わたしが男と居て何がいけないの? 自分だってやってるくせに。

「ごめん起こしちゃった? もう切るから寝よ」

 和成ではなくショーゴへ返答し、電話はガチャ切りしてやった。
 ショーゴは目が覚めたのかやらかしたみたいな表情を浮かべている。

「もしかして彼氏だったか?」
「うん。出るつもりなかったんだけど間違えちゃってさあ」

 そう言うとショーゴに引きずり込まれあっという間に布団の中へと逆戻りした。
 覆い被さってきたショーゴに何度も口付けられ息もあがってきた頃。

「彼氏よりオレ優先してくれんの?」

 優しく、そして嬉しそうな声で私の頬を撫でた。
 正直言って和成への苛立ちからそうしただけだった。でもまあ状況的には、

「そういうことになる、のかな」

「やっぱオレ彼女と別れるわ」

「えっ」

 このタイミングでこんな事を言うなんて、私にも別れろと言うんだろうか。
 どんなに苛立ったって、傷付いたって、別れられる気がしないのに。
 そんな私の考えなんてお見通しなのか、ショーゴは笑った。

「別にお前も今すぐ別れろなんて言わねーよ。オレの事選んでもらえるように頑張るっつー決意?」

 ただでさえ今一番の心の支えとなっている存在はショーゴなのだ。今以上にショーゴが入り込んで来たら……私は幸せになれるのだろうか?
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