目が覚めると、ショーゴはいつ帰ってきたのか隣で寝ていた。
初詣を済ませまた酒を飲み、ショーゴを見送ってすぐ朝の6時頃に寝た。時計を見ると短針は2時を指していた。

ショーゴはまだ寝足りないだろうから、布団からそーっと抜け出し、缶ビールの残りを飲む。
ヒーターのせいかぬるいし、炭酸が抜けてて美味しくない。
タバコに火をつけて起き抜けの一本を楽しんでいると、ケータイのランプがピンク色に光っていた。
気分が急降下したものの、画面を開いて確認する。電話ではなくメールだった。
内容はなんてこともない『あけましておめでとう、今年もよろしく』とデコメで飾られた挨拶だ。
クリスマスも和成からデコメ満載なメールが来たし、それから今日まで一日一通は欠かさずメールが来ている。
私はそれに一度も返していない。
どうせレイナちゃんと初詣でも行ってるんだろう。

新年早々気分最悪。
タバコをもみ消し、またショーゴの隣へ寝転んだ。
ショーゴは仰向けで寝ている。
体を起こして手を伸ばし、頬を数回撫でても起きる気配はない。
のし掛かるように覗き込んで寝顔を眺め、そしてふと魔がさして自分の唇をショーゴの唇へと重ねた。

ショーゴを好きになれたら辛い思いなんてしないんだろうか。
私が彼氏と別れてショーゴと付き合いたいって言ったら彼女と別れてくれるんだろうか。
唇を離し、顔をあげようとすると、ショーゴの手が後頭部に回ってきてまた唇が重なった。


「どーした?」

眠そうな顔で私の後頭部を撫でながら問いかけてきたショーゴ相手に、表情を取り繕う余裕なんて私にはなかった。

「ごめん、起こしちゃったね」

「なんかあったか?待ってる間寂しかった?」

撫でてくれる手はとても優しい。
ショーゴの声も、言葉も、表情も、全部優しい。涙がこぼれてきた。

「え、なんで泣いてんだよ、そんな寂しかったか?ワリィ、やっぱ行かなきゃよかったな」

私の涙を見て、ショーゴが慌てている。やっぱりショーゴは優しい。きっとこの世界で完全に私の味方をしてくれるのはショーゴだけなんだなんて大層なことを思った。

「私、ショーゴのこと、好きになりたい。ショーゴの、こと、だけ、考えたい」

泣きながらそう言った私をショーゴは抱きしめてくれた。
これ以上ないってくらいショーゴに良くしてもらってるのに、なんで私は和成じゃなきゃダメなんだろうか。これ以上ショーゴになにを望んでいるんだろうか。
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -