食事を済ませ家に帰ってきた私達は、歩き疲れた体を癒すために一緒にお風呂に入った。
ドライヤーをしてもらいながらテレビを眺める。ドライヤーの音にかき消されて、テレビの音声は聞こえない。目に映る映像も意味をなさない。頭の中には和成とレイナちゃんの事ばかりが浮かんだ。
「ほら、終わったぞ」
「ありがと」
「あ、お前にプレゼント用意してあったんだ」
「え?まじ?嬉し〜!私もショーゴにプレゼントあるんだ。大したものじゃないけど」
イルミネーションを見ながら渡そうと思ってたのに、すっかり忘れてた。
バッグの中からクリスマスカラーにラッピングされたプレゼントを取り出す。
ショーゴは立ち上がってクローゼットの中から小さな紙袋を二つ取り出した。
「はい、これ」
「サンキュー。俺からも、ほらよ」
私が渡すと、ショーゴも紙袋をくれた。紙袋はヴィトンだった。
開けていい?と聞こうとしたけどすでにショーゴは私があげたやつを開け始めていたから、聞かずに開けることにした。
出てきたのは、モノグラムのシガレットケースだった。
「めっちゃ嬉しい!ありがと!」
喜んでいるとショーゴも嬉しそうに笑った。
「俺も嬉しい。サンキューな。毎日使うわ」
私があげたのはzippoだ。一応ショーゴの趣味に合うようなのを選んだつもりだけど、一万くらいの大して高価じゃないやつなのにショーゴが喜んでくれてよかった。
ショーゴはいつも100円ライターを使っていたから、オイルや石、研磨用の布も一緒に包んでもらった。
「まだあんだよ。右手出して」
言われた通り、右手を出して待っていると、そうじゃねぇと手のひらを上にしていたのを甲を上に変えられた。
後ろを向いて紙袋をごそごそやり始めたショーゴを待つ。腕を中途半端に上げているのは結構きつい。
こっちに向いたショーゴは私の手を取り、薬指にリングをはめた。
「俺とお揃い」
今日ショーゴは右手の薬指に、私がいまつけてもらった指輪をしていた。てっきり彼女とのペアリングかと思ってたのに、どうやら私とお揃いらしい。
「仕事中つけれねーだろうしバレねぇだろ」
「ありがと〜!でも、彼女になにあげたの?」
「ブレスレット」
「へぇー」
なんだか私は嬉しくなった。
頭の中に渦巻いてた和成とレイナちゃんの事はほとんど忘れ去っていた。
気分が良くなって、酒でも飲もうかなーなんて思っているとショーゴが布団を敷き始め、呼ばれる。
「もう寝るの?酒飲もーよ」
「まだ寝ねーよ。酒は後でな」
布団に横になったショーゴの隣に私も寝転ぶと、キスされた。
スエットの中に手が入ってきて胸を触られる。
電気がついたままでショーゴとヤッたのも、酒が一滴も入ってないショーゴに抱かれたのもこの時が初めてだった。