最近ショーゴは毎日仕事帰りに森山さんとゲーセンやパチンコ屋に行っている。
私も和成と会う予定がある時以外は着いて行ってる。家に一人は寂しいし。
そして数日前から森山さんはショーゴの家に住み着いた。

職場からだと自宅よりこっちのほうが近いらしい。
八畳に三人で住むのは少し狭い気もするが、夜は毎日酒盛り状態で楽しい。
それに森山さんは手を出してこないし優しい。なんか親戚のお兄ちゃんみたいで私もショーゴも懐いていた。

「彼女が欲しい!」

ラッキーストライクを吸いながら、森山さんが突然そんなことを言い始めた。

「もうすぐクリスマスだろう!?彼女作ってデートしたい!」

「うちの店の人でいいなら紹介出来るかも」

うちの店の女はみんなフリーだ。森山さんは見た目も悪くないし、紹介して店の人に恩を売っておいてもいいかもしれない。

「てか私もクリスマスはひとりぼっちなんだけど!どうしよ!」

「お前彼氏はどーしたよ」

「クリスマス前から三が日まで会えないって」

バイトがあると言っていたが多分他の女だ。バイトだったら終わったら会えるはずだし。
私の台詞にショーゴは顔を顰めた。

「だからクソ野郎とは別れろっつっただろうがよ」

「ショーゴは?クリスマス」

「名前どっか一緒に行くか?」

「えっ、ホント?やったー。私仕事出来なさすぎなのか、ケーキ屋なのにクリスマスシフト入ってないんだよね」

「よく怒られてんの見かける」

「えー、つらい」

「名前ちゃん、俺に紹介してくれるって話忘れないでくれよ!」

「あ、じゃあ今メールしてみる」

一応同じ店の人の連絡先は数人知ってる。
ケータイを開いて、誰に森山さんを紹介しようか悩む。
あ、森山さんDirとか好きだしヴィド好きな子なら話し合うかもしれない。
『彼氏いなかったよね?紹介したい人いるんだけどどうかな?同じ百貨店の人だよ!』うん、これでいいか。
送信すると、すぐに返事は来た。是非紹介して欲しいと言われたので『じゃあその人にメアド教えとくね!』と送信した。

「森山さん、いいって。その子のメアド、メールで送ったー。パンピっぽいけどV系とか好きだし、話し合うと思うよ」

「ありがとう!今度お礼に何か奢るよ!」



***



後日、森山さんと紹介した子は付き合い始めた。
仕事中、その子がよく話しかけてくるようになったからちょっと仕事が楽しくなった。
家に帰ると、森山さんは居ない事が多い。

「森山さん今日もデート?」

「らしいな。森山さんいると楽しいけど、やっぱ二人のほうが落ち着くな」

「ねー」

「つかさ、お前の店に森山さんの彼女と仲良い子いんだろ?オタクだって言ってた子。告られた」

「おっ、マジで?どーすんの?」

「名前彼氏と別れる気ねぇの?」

「うん、やっぱ好きだし」

「今から色々言うけど、態度変えたりすんなよ?……お前の事好きだよ。彼氏いても最悪俺と一緒に居てくれるだけでいいんだよ。彼氏より長く一緒にいて、彼氏より愛情注いでる自信もある。でも俺も普通に彼女欲しいとか思うからな。お前が彼氏と別れる気ィないなら、その子と付き合おうかと思ってんだけどどうだ?」

面と向かって好きだよとか言われると少し照れる。茶化したくなったけどシリアスムードだから相槌打つだけにした。
というか、あの子と付き合うってことはそういうことだよね。

「んーと、出てけってこと?」

「あ?話ちゃんと聞いてたのか?」

「聞いてたけど……」

「そんな彼氏じゃお前もそのうち別れんだろ。これまで通りウチにいろっつってんの」

「ショーゴに彼女出来るけどこれまで通り?ってこと?」

「おー」

「ショーゴ家に彼女連れ込めないじゃん」

「別に、カップルっぽいことしたいだけでヤれなくても問題ねぇし。外で会えばいいことだろ」

「じゃあエッチは私が担当かな」

仲良くもない彼女(になる子)に罪悪感はない。我ながら性格悪い。

「身体だけみたいな言い方すんな」

付き合ってないから現状は身体だけだけどね。なんて思ったけど口に出す前に飲み込んだ。

「クリスマスは?彼女と過ごすの?私さみしいなー!」

「イブの昼飯は彼女と食うけど、その後はお前と出掛けっから安心しろ」

「いいの?彼女可哀想ー」

良かった、ひとりぼっちのクリスマスは回避だ。
あの子に対して少なからず優越感が沸く。
ショーゴはきっと彼女より私を優先してくれる。その事実で和成が女遊び激しくても耐えられる気がする。
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