順番で風呂に入ってから酒を飲みまくった私達は案の定酔っ払った。
布団を二枚敷いて、出番のなかった布団に大輝、いつも使っているほうに私とショーゴが横になった。
大輝の寝息が聞こえてくると、ショーゴが覆いかぶさってくる。
「声出すなよ」
「え、大輝いんだよ?明日にしようよ」
「我慢できねぇよ。ワリィな」
口付けられると、身体にショーゴの手と舌が這いだす。
服を脱がされ普段と同じように攻められ続け、悲鳴のような声が漏れると、ショーゴの片手が私の口を塞いだ。
「声出すなって」
小声でそう言いながらも愛撫を止める様子はない。
私がイッて全身がビクビクと痙攣してもいつもショーゴはお構いなしだ。仰け反ってももがいても泣き出してもやめてくれない。
口を塞がれていても悲鳴と嗚咽は部屋に漏れる。
「はえーけど、もう挿れていい?」
やっとショーゴの手が口と身体から離れ、耳元で囁かれる。
全然早くないし。もっと早くていい。普段から私がイッたらすぐに挿れていいのに。呼吸の乱れた私の口からそんな言葉は出てくれそうもない。頷くと、ショーゴは私のお腹に跨って頭上に腕を伸ばした。多分ゴムを取ったんだろう。
ショーゴが元の位置に戻って少ししてから、覆い被さられキスされる。
「いたっ」
「いい加減慣れろよ」
和成のときは痛みを感じないけど、ショーゴに挿れられるとちょっと痛い。ショーゴは一呼吸置くと、動き出した。痛みの中に気持ちよさもちょっとはある。けどとにかく苦しくて声が漏れる。
「んっ、あっ、」
腰を打ち付けられる度に、声が漏れる。何回も言うけど苦痛でだ。
苦しい早くイッてよ。私の思いと裏腹にショーゴはとにかく遅漏だ。
「うっ、あっ、あっやだ、もうやめ、て」
苦しさに耐えきれずまた泣き出した私を見てショーゴは唇を重ねてきた。
いつも通りショーゴがイくまで泣き続け、終わったあとは抱きしめられながら乱れた呼吸と疲れた身体を落ち着かせる。
後にも先にも、こんなに満足(苦痛を伴うけど)するセックスをするのはショーゴだけかもしれない。
軽いいびきをかき始めたショーゴの腕から抜け出し、スエットを着てテーブルのそばへと移動する。
割りもの用に買ってあった緑茶をグラスに注ぎ、一気で飲み干しタバコに火をつけた。
すると、テレビの明かりのみの部屋の中で動く影が見えた。
その影は私に近付く。影の正体は大輝だ。
「目覚めたの?」
声をかけると、どかりと横に座った大輝はマイセンに手を伸ばし吸い始めた。
「隣でヤってたら目も覚めるわ」
「え、いつから起きてたの」
「結構前から」
うわ、気まずい。めっちゃ気まずい。
私が吐き出したものか、大輝が吐き出したものか、煙草の白い煙が視界を漂う。
あ、なんかごめん。そんなありきたりな言葉が口から溢れた。
テレビから流れてくる音声が、申し訳程度に気まずい空気を軽減してくれているが、大輝からの返答はない。
あー、空気に耐えられないし寝よ。煙草の火を揉み消して立ち上がると、大輝も同じ行動を取った。
「おやすみ」
大輝に声をかけ、ショーゴが寝ている布団に入ろうとすると、肩を引かれた。
「ちょっと待て」
「え、なに?」
「こっちこいよ」
そのまま引っ張られてもうひとつの布団に座らされキスされた。
うわー、無理なんだけど。疲れてるしキスされても全くそんな気分になれない。
「優しくすっから」
「え、無理!どいてよ」
押し倒されて声をあげるが大輝
拒否りまくるのもヤるのも、どっちもダルすぎる。ショーゴが起きてくれればなぁなんて他人任せなことを思ったが、ショーゴは相変わらずいびきをかいていた。
大輝にヤられてる間は半分寝ていた。生でヤられたくないからなんとか寝ないように我慢してた私を誰か褒めてくれてもいいと思う。
あと全然反応ない女を最後まで抱けた大輝も何気にすごいと思う。
***
「ふざけんなぶっ殺すぞ」
物騒な言葉を放つショーゴの声で目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む陽射しが眩しい。
あくびしながら起き上がると、部屋のドアのほうでショーゴが大輝の胸ぐらを掴み上げていた。
え、どういう状況。わけわかんなくておはようって言葉が出てこない。
チラリとこちらを見て起きた私に気付いたショーゴは、乱暴に手を離すと、大輝に思いっきり蹴りを入れて玄関の方へと追いやり始めた。
「ぶっ殺されたくなかったらさっさと出てけよ」
「悪かったって」
ここからじゃ玄関の様子がよく見えない。ガチャリと玄関のドアが開き、バターンと思いきりドアの閉まる音が聞こえた。大輝が帰ったんだろうか。
ショーゴが部屋に戻ってくると、私のそばへやってきた。そして抱きしめられる。
「ホンットに悪かった!」
「え、なにが」
話が見えない。ショーゴの体が離れ、両肩を掴まれ見つめられる。
「大輝にヤられたんだろ。気付けなくてワリィ……爆睡かましてた。殴るなりなんなりしてくれ」
「え、気にしてないよ」
疲れてんのに嫌だとか眠いのにうぜぇくらいにしか思ってなかった。ここまで、しかもショーゴに謝られる必要なんてない。
「でもよォ」
「ショーゴとヤッて疲れてんのにウザーくらいにしか思ってなかったから気にしないでよ。私半分寝てたし」
「無理矢理中だしとかされてねぇ?あいつそーいうの好きなんだよ。あいつはゴムしたっつってたけど」
「ゴムしてたよ」
「そっか、よかった。いや、よくねぇか。マジ病むわ。身体大丈夫か?」
「んー、あんま濡れなかったからちょいヒリヒリしてる。あとはいつも通り腰痛いくらいかな」
そう言うと、隣に座り腰をさすってくれた。
「お前今日仕事は?」
「休みだよー」
「一人で大丈夫か?なんなら休むぞ。俺もうカンペキ遅刻だし」
「ショーゴんとこの店長めっちゃ怖いじゃん〜。行ってきなよ、大丈夫だから」
ショーゴはしばらく私の腰を撫でたあと、立ち上がって渋々支度をし始めた。