合い鍵はあるのに、基本的に今まで通り私とショーゴはひとつの鍵を使っている。仕事中に会う口実になってる。合い鍵はキーホルダーもつけずに靴箱の上に置きっ放しだ。
たまにショーゴが仕事で私が休みの日は、合い鍵を持って出かけたりもするけど。

今日はショーゴが休みで私はバイトだ。
早番だから夕方には帰れる。
ショーゴがわざわざ起きて送り出してくれたから鍵は持ってこなかった。
仕事を終え、ロッカールームを出てケータイをいじりながら駅に向かっていると、ショーゴから電話がきた。

「もしもしー?」

「お前仕事終わった?」

「うん」

「今ダチとパチ屋いんだよ。お前も来る?つか鍵持ってねぇだろ。ジャグラー打ってっからスロットんとこ来い」

どうやら百貨店の最寄り駅近くのパチンコ屋にいるらしい。
うーん、同じ西口なのに平気かな。なんて少し心配しながらも足はパチンコ屋へと向かっている。
パチンコ屋に着き、店内のスロットエリアをウロウロしていると、ショーゴがいた。
台に向かっていて私には気付いてないっぽい。後ろから両肩を掴んで耳元で声をかけると、ショーゴは私に視線を向けた。

「お、来たか。お前も打つ?」

「私スロットわかんないんだよねー。パチンコはたまに打つけど」

「じゃあ、ほら」

ショーゴはくたびれた茶色いダミエの財布から諭吉を一枚取り出して、私にくれた。

「え、いいの」

「おう」

「ありがとー!負けたらごめんね」

「お前が負けても俺が勝ってるからダイジョーブだよ」

ショーゴからもらった軍資金を持って、お茶を買ってから甘デジエリアへ向かう。
MAXはイベント日に朝一で角台打てるときしかやんない。
なんの台打とうかなーなんて台を見て回る。前に打ったことのある必殺仕事人が空いてたからそこに座った。一万を投入して打ち始める。ちなみに打ったことあるとは言っても詳しくはしらない。この演出がどうだとか全く知らない。
お茶を飲んだりタバコ吸ったりしながら打っていると、五百円で単発が来た。
その後も出続け、結局七千円勝ちした。
パチンコ屋にいると時間感覚が狂う。体感時間は30分程度なのにかなり時間が経っていた。
返金と換金を終え、ショーゴの元へ行くと、同じジャグラーでも違う台に座っていた。
上の棚を見るとドル箱がすごいことになってる。
隣の台が空いていたから座り、声をかけた。

「めっちゃ出てんじゃん」

「おー、今日めっちゃツイてんわ」

「あ、はいこれ。ありがとね」

持っていた一万七千円をショーゴに渡そうとすると、押し返された。

「やるよ」

「え、いいよ」

「やるっつってんだろ」

「じゃあ勝った分だけもらうね。ありがと」

一万円を抜き取り、ショーゴのダボダボなジャージのポケットに突っ込むと顔を顰められた。
ショーゴは基本、仕事の時以外はジャージかB系の服を着ている。
部屋のクローゼット内においてある、透明な引き出しの中にはガルフィー(よくヤンキーが着ている犬の刺繍が入ったやつだ)のジャージがいっぱいしまってある。
こっちのほうが見慣れてしまったから、仕事中にスラックス着てるショーゴみるとなんか笑える。

「飯何食いてェ?好きなのいいぞ」

「焼き肉ー!ショーゴは?」

「俺も肉食いてぇな」

ショーゴは気前がいい。焼き肉奢ってくれる人とタバコ買ってくれる人はいい人だ。私のいい人認定はゆるい。
目押しどうやんの?すごい!なんて言いながらショーゴが打ってるのを見ていると、私とは反対側のショーゴの隣に男が腰掛けた。

「祥吾今日すげーな」

「おう、お前は?」

ショーゴと話し始めたのを見て、コイツがショーゴの言ってた友達かと観察する。
ショーゴと違ってなんだか普通だ。髪も短いし、服装もそこら辺の大学生っぽいしタイプじゃないなぁなんて失礼なことを思いながら台に視線を戻す。
私は昔もバンギャになってからも、ヤンキー系の男が好きだ。だからショーゴはドストライクなはずなんだけど。
和成は顔が好みじゃない。和成もイケメンなんだろうけど私はショーゴみたいな顔が好きだ。
なのになんで和成のことがここまで好きなんだろうか。

グラグラと肩を揺すられ、びっくりしてショーゴの方を向くと笑われた。

「お前今違う世界行ってたぞ」

「ん、ボケーっとしてた」

「話しかけても気づかねぇし、ダチ紹介すっから。コイツ、高校時代のダチの大輝。んで、こっちが一緒に住んでる名前」

「よろしくね大輝くん」

「大輝なんて呼び捨てでいーんだよ。な?」

「おぅ、よろしくな名前」

「お前は呼び捨てしてんじゃねぇよ。ちゃん付けろ」

「わかったから殴んなよ痛え」

店内はうるさいから三人で大きな声を出している。けど騒音に紛れてるのか周りにいる人は気にする様子なんてない。



***


焼き肉を食べ、電車で最寄り駅で降りると、大輝も一緒に降りた。

「お前なんで降りてんだよ地元帰れ」

「遠いんだよ。今日泊めてくれよ」

「嫌だ」

「いいじゃねーか、な、頼む。名前ちゃんからもなんか言ってくれよ」

私に振られても困る。ショーゴをみると嫌そうな顔をしていた。
大輝が引き下がる様子はない。

「久々に会った親友だぜ、いいじゃねーか」

「テメェは親友じゃねぇよ」

「酒俺が買うから飲み直そうぜ」

「パンツ貸さねぇからな。コンビニで買えよ」

「マジで、おっしゃ」

どうやらショーゴは根負けしたらしい。私の腕を取って歩き出したショーゴの横を大輝が歩いている。
マンション近くのミニストップで酒やつまみなどを大量に買い、家に帰った。
ちなみにタバコ買おうとしたらショーゴが私と自分の分を大輝に買わせてた。ラッキー。
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