着ていた服を洗濯機の上に起き、風呂場に入ると、普通の広さだった。
バスタブには、入浴剤を入れたのか乳白色のお湯が張られていた。
シャンプーはパンテーンで洗顔フォームはダヴか。ショーゴのチョイスなかなかいい感じ。
風呂用の椅子に座り、元カノのものであろうクレンジングオイル(ちょっとお高くて自分では買わない、ビオレのパーフェクトオイル……!)を使って化粧を落としたりしていると、風呂場のドアがあいた。
「ちょ、まだ洗ってんだけど」
「洗ってやっから」
うわー恥ずかしげもなく全裸かよ。ズカズカと入り込んできたショーゴは、もうひとつの椅子を私の背後に移動させ腰掛けた。
「一緒に入るなら電気消してって言ったじゃんよ」
「もう見ちまったしおせーよ。まじ腹周り肉付きいいな。すっげームニムニしてる。きもちい」
私の脇腹や下っ腹に手を這わせてつついたりつまんだりしてるショーゴにシャワーぶっかけたくなるのはしょうがないと思う。
「ガリガリよりかはこんくらいのほうがいいな」
「ショーゴってデブ専なの」
「お前はまだギリギリぽっちゃりだろ。俺の元カノもっと太ってたし」
なんか気にするだけ無駄な気がしてきた。存分に私の腹の肉を堪能しろ。なんて開き直っていると、ショーゴがシャワーを奪った。
「髪の毛洗ってやるよ」
「洗いっこしよっかー」
「洗いっこって、なんかエロいな」
「髪の毛だよ」
二人とも髪を濡らし、シャンプーをつけてお互いの髪をわしゃわしゃと洗った。なんかあれだ、こういうの憧れてたからちょっと嬉しい。
お互い満足し、ちゃんと出来てなかった部分を自分で洗うと、ショーゴが下向けと言ってきた。
「下向いて流せない、いつも上向いて流してるー」
「子供かよ」
上を向いて目をつぶると、ショーゴは顔にかからないように丁寧に洗い流してくれた。
「リンスもつけんぞー」
「ん、ありがと」
流し終わり、持参したヘアゴムで髪の毛をまとめていると、ショーゴも流し終えたらしい。何か言いたげにこちらを見ていた。
「ん?」
「体も俺に洗わせろよ」
「じゃあお願い」
いいのかよなんて呟きながら、ボディーソープを手のひらに出したショーゴは、いやらしくない手つきで身体中丁寧に洗ってくれた。
意外に紳士だ。けど「お前洗ってたら勃ったから落ち着くまでこっちみんな」って言われた。
先にお湯に浸かり、ショーゴのほうを見ないように壁に向いていると、数分後にはショーゴもお湯に入ってくきた。
「もっとこっち来い」
「狭くない?」
「こうすれば大丈夫だろ」
ショーゴの足の間に座り、後ろから抱き締められる。
あとケツに当たってる。
「抜いたんじゃないの?」
「は?横で抜くとかマヌケかよ」
「確かにー」
「それに俺そんな早くねぇよ」
笑っているとショーゴが脇腹をつまんできて、痛いと反抗すると今度はくすぐり始めた。
「あは、ちょ、や、やめてええ、あははっ、まじ、ホントやめて死んじゃう、やだっ」
騒いでもやめる気配のないショーゴに、私も後ろ手にくすぐり返すことにした。
「おま、やめ、ぎゃはは、やめろって」
お互い力尽きるまでくすぐり合うと、ショーゴはまた私を抱き締め直した。
「はー、お前悪魔かよ」
「ショーゴがじゃん」
「なんかすっげぇ疲れた」
私も疲れたー。と溜め息吐くと、ショーゴが私の耳に唇を寄せた。
「ちょっとこっち向いて」
耳元で囁かれてぞわりと背筋が震える。首だけで振り返ると、軽く唇が触れるだけのキスをされた。
あ、今のなんかちょっとキュンときた。
何事もなかったかのように「あがるか」と私を抱き締めたまま立ち上がろうとしたショーゴに合わせて私も立ち上がる。
お前チビだな。笑ったショーゴの脇腹を肘でどつくとまた笑われた。