和成とは一応仲直りした。お前のこと手放したくないなんてクサイ台詞言われた。
が、私は週5でケーキ屋のバイト、週1でキャバのバイトと、働くので手一杯ですれ違い生活。
ショーゴとはカフェで会うと必ず一緒にご飯を食べたりタバコ吸いながら話すような仲になった。

そして仕事中、私は百貨店の地下にある巨大な冷凍室にきていた。
冷凍室の入り口に何着かダウンジャケットがかけられていたが、使っていいのかは知らない。
私は制服のまま中に入ることにした。
え、うちの店の棚どこにあんの。寒さになんとか耐えながら、白っぽい視界に目を凝らす。
めっちゃ広くてみつかんないし寒いしでガタガタ震えていると、肩を叩かれた。

「おい、お前なんで上着きてねーんだよ」

振り返るとそこにはあったかそうなダウンジャケットを羽織ったショーゴがいた。

「使っていーんだ」

「当たり前だろ。あー、ほら。口とか顔真っ青んなってる」

あったかい手で私の唇をなぞり、頬を包んでくれた。
ショーゴは「ほら、これ着ろ」と上着を脱いで私に着せてくれた。

「上着取ってくるわ」

「ショーゴありがとううう」

「いーよ、こんくらい」

入り口に向かったショーゴを横目に、また自分の店の棚を探すことに専念する。
さっきよりマシだけど寒いには変わりない。
冷凍室内をウロウロしているとショーゴがやってきた。

「は、お前まだいたの」

「うちの店のスペースみつかんない。ここの列にあるはずなんだけど」

「一緒に探してやるよ」

「戻るの遅くなっちゃわない?」

「手伝わないとお前が遅くなって怒られんだろ」

「ありがと」

ショーゴめっちゃ優しい。感激しながらも探していると、ショーゴが声をあげた。

「あったぞ。ほら」

棚の上のほうからうちの店の名前が書かれたダンボールを取って私に見せてくれた。
ショーゴの腕の中にある段ボールから必要なものを取り出し、ビニール袋に入れる。

「ホントありがとう。助かったー」

「気にすんな」

ショーゴは段ボールを戻しながら笑っていた。
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