愛、愛するとは | ナノ

▼ せかいはわらない
スクハラ いじめ 強姦表現あり 保険医設定での学パロ


「……お前さァ、ココがどこだか分かってるの?」
「…………」
「ここ、保健室ね。病人、怪我人が来る場所」
「…………」

で、どこが悪いの?、そう聞けば目の前で佇む彼女は、ぎゅっと唇を噛みしめて、スカートの裾を皺が残るほど強く握りしめた。
僕は少しだけため息をついてから、データを打ち込んでいたパソコンを閉じる。彼女はここに来て僕の前に立つなり、そのまま何も話さない。まぁ、彼女がここに来るなんてそんなに珍しいことじゃないし、寧ろ、毎日のことであるからもう、ここに来る理由も何も話さないわけも全部分かってはいるけど、分かっているだけ。それ以上は何もしない。
皺になる、みっともないからやめなよ。そう言って彼女の方に手を伸ばせば、びくりと大袈裟に後ろに一歩引かれてしまった。自分から来ておいて、いざ僕が来たら下がるなんて本当に生意気なガキ。ちっ、と舌打ちをしてから無理に彼女の手首を掴んで無理矢理引き離せば、小さな声で離してくださいと言われて、それから弱々しく腕を振り払われた。助けてほしいからここに来てる癖して、いざそうしてやろうとすれば、自分から拒否するだなんて、本当にこいつはクソガキ。生意気だ。
僕はぎしぎしと軋む事務椅子から立ち上がって、少しづつ僕から離れていこうとする彼女の手首を再び掴んで、荒々しくベッドの方へと突きとばせば、案の定彼女はぐらりとバランスを崩して真っ白なベッドに倒れこんだ。
ガシャン、とパイプ椅子が彼女の脚にぶつかって、大きな音を立ててからいくつか倒れる。僕はもう一度溜息をついてから、倒れこんでいる彼女の上に跨った。

「で、今日はどうしたの?」
「…………、」
「早く言って」

僕も暇じゃないのに、お前に時間を使っているんだよ。
シーツに散らばった綺麗な髪の毛をいくつか掬い取ってそう言えば、もごもごと少しだけ彼女の口元が動いた。もう片方の手をリボンの所に伸ばせば、今にも泣きそうな表情になりながら、彼女は答える。

「バ、バスケ部の……ひと、に告白されて」
「うん」
「私、その人のこと好きじゃないから告白も断って、でも、それが駄目で」
「ふぅーん。まぁ、お前は何やっても大概駄目だけどね」

ぱちくり、と大きく目が見開かれてから気まずそうに顔を逸らした。掬い取った髪の毛がするり、と僕の手から零れ落ちていく。

「で、叉靴隠されて、教科書全部捨てられたの?自分の持ち物位自分で管理しないと」
「……ごめんなさい」

いつもはこれくらいだとすぐに泣くくせして、今日は泣かないんだなと思いながら、僕は彼女のワイシャツのボタンを外していく。小さい悲鳴を上げられたけれども、無視。そんなに嫌なら今からでも大きな声を出して、助けを呼べばいいし、本当に嫌なら跳ねのけて逃げるのが一番だ。
まぁ、ちゃんと鍵をかけたけど。
腹部らへんには、紫色をした痣がいくつかできているのがわかった。最後に見たのが確か二日ほど前か。いくつか増えているようにも思える。僕はちっ、ともう一度舌打ちをする。それを彼女は自分が何か悪いことをしたと思ったらしく、ぎゅっと目を瞑った。

「可哀想にね、陰口とか仲間外れとかそんな陰湿なくだらないいじめに加えて、殴られたり?物隠されたり、盗られたり?あぁ、この前は体操服、焼却炉で燃やされたんだって?」
「……、せんせ」
「あぁ〜可哀想だね」

本当に可哀想。
痛そうな痣をわざと、ぐっと押していけば、やっぱり彼女は辛そうに顔をしかめた。それから、円を描くようにして腹部を撫でてあげる。

「おまけに、僕みたいなゴミにレイプまでされて処女散らしてるもんね。なまえちゃんの学園生活、ほんと」

腹部にある、紫色とはまた少し違った色をしている痕をなぞってから、ぎゅっと抓っていく。

「うぁ、やだ、いやっ」
「嫌々言う割にはいつもさぁ、気持ちよくなってるんだから、あんまり嘘ばっかり言うのはやめた方がいいと思うよ」
「せんせ、やだっ、許して……、いや」
「敬語、使え」

今からおっぱじめると思ったのか、彼女はじたばたと暴れ出した。これじゃあ僕が年柄年中盛ってるみたいに思われてるようでなんだか癪に障る。

学校なんて、ゴミしかいないんだなと僕は思った。
見た目が少しよくてちやほやされてるなまえちゃんをそうして傷つけるなんて馬鹿なんじゃないか。いじめ、なんてそんなしょうもないこと、もうとっくに駄目なことだとわかっているはずだろうに、自分の自尊心や優越感を得たいが為に他人を蹴落とすその思考がとても滑稽だ。
まぁ、生徒を無理矢理犯す行為を何度も繰り返す僕も負けじと馬鹿だしゴミだし滑稽だけれども、僕は残念ながらそんな行為を起こす感情の原因が、自尊心とか優越感とかそういうものじゃなくて、彼女に、なまえちゃんに対する愛だから、まだ少しだけマシなものだと勝手に思い込んでいる。
学校は閉鎖的なコミュニティであるから。おまけに人間は社会的生き物だから、組織ではじきものにされることは辛いことだし、それは学生生活においてある意味、死を表しているように思う。
そんな辛い状況で、助けを求めて僕の所に来たはずであろうなまえちゃんは、僕が彼女に欲情していることなんて微塵もわかっていなかったから、こんなことになってしまった。
本当に可哀想だ、可哀想で、滑稽で、とっても愛おしい。

「僕も一応、先生だから。仕事中にそんな事しないよ」
「……っ、」
「なまえちゃん、熱もないみたいだし、怪我もあんまりひどくないから。教室に戻れば」
「………」

可哀想。
教室にいるのが辛いから、ここに逃げてきたってのに追い出されてしまえば彼女はどこに逃げるのだろうか。あのクソバスケ部の奴に助けをもとめるのだろうか?でも、そんなことしちゃえば自分の立場がもっと駄目になるって分かってるだろうから、きっと自分の中で無理に抱え込んでいくんだろうな。

いじめだなんて、しょうもないし、なまえちゃんの綺麗な肌を傷つけるのは本当に許せないから今からでも殺してしまってもいい。あぁ、でもそれをなまえちゃんが成長していく上での試練、ととればそれは一応許容範囲になりえるけど気持ちの良いものじゃない。
なまえちゃんを、泣かせていいもの、悲しませていいのも、僕だけならいいのに。

酷く脅えるなまえちゃんが可愛くて仕方無かったから、僕は彼女の額にキスを落としてあげる。

「これくらいで逃げちゃあ将来やっていけないから」
「……まつの、せんせい」

いちまつ先生と、彼女が僕の名前を呼んだ。ぞわり、と背中に何かが走る感覚がする。

「せんせい、ちゃんとするから……ここにいさせて、ください」

するり、と彼女の細い腕が僕の首にまわされて、唇が寄せられた。
僕はここで、もう一度彼女をあの地獄へ叩き落とすか、それともここで一緒に。
答えなんてはじめっから決まってるのに。彼女の綺麗な指が僕の唇をなぞった、僕をそれをぺろりと舐める。
「放課後、セックスしてあげるから。とりあえず、教室に戻ろっか」

やっぱり、そうしてあげないと。これはあくまで、愛の鞭である。

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鬼教師型(獅子は千尋の谷にわが子を突き落とすよ型)

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