なんでも許せる人向け


玄関先にある大きなビニール袋とベッドに寝そべって楽しそうに雑誌を読んでいるなまえを交互に見てから舌打ちをした。
僕はなまえの名前を呼んでから、玄関先の大きなビニール袋を指さすとなまえはきょとんとした表情でそれをしばらく見つめてから、あぁとわかったような表情をして「チョロ松くんありがとう」とそう言ってから又雑誌を読み始める。全然違う、と僕はもう一度なまえのことを呼ぶ。

「チョロ松くんどうしたの?」
「……お前さぁ、いつになったら学習するわけ?」
「…あ!そっか、えへへ…チョロ松くんがやってくれるからついつい甘えちゃう」

ふざけんな!と言おうと思ったけどやめた。
自分の部屋くらいちゃんと掃除しなよ、女の子なんだからさ。とそう言ってかれこれ何度目になるのだろうか。片手、両手、両足…それじゃあ全然足りない。なまえは全くもって学習能力がない。言ったこともやらないし、掃除もしない。それから、当然料理もしない。本当にどうしようもない女の子だ。いつもいつも、部屋は洋服と下着で床が見えないし冷蔵庫も常に空っぽ。ゴミを出すのは気まぐれで、きちんと出せているときと出せていないときがある。僕が彼氏になってあげて、こうやって週に一度くらいなまえの家に行って掃除しているからいいけど、こいつは今までどうやって生きてきたかわからないし、僕がいなくなったらどうやって生きていくつもりなのだろう。
ゴロゴロとベッドの上で寝そべっているなまえの恰好は相変わらずだらしがない。首元はよれよれで大きく開いているTシャツワンピース(というものらしい)で下は何もつけていない。
僕はそんなだらしない女の子に欲情なんかしないからいいけど、なまえはあまりにも危機感がない。僕はため息をついてから、ローテーブルの前に座って求人誌を読むことにした。
相変わらずなまえはわけのわからない雑誌をよんでいる。みてないなら、テレビくらい消せよ。と思いながらテレビの電源を落とした。

「ねぇ、チョロ松くん」

もに、とした何かが僕の背中に押し付けられる感覚がする。

「僕今忙しいんだけど」
「なんで求人誌なんて読んでるの?」
「そこにあるからだけど」

こいつに僕が無職であることは言ってない。言えるわけがなかった。見た目だけはちょっといいだけの(性格は相変わらずだし、自分のことも何一つできない)そんな女でも職に就いているのだから、そう考えるとそんなこと言えるわけがなかった。
僕は求人誌を閉じてから、離れてと言った。

「ねぇ、えっちしよ」
「……なに、急に」
「お掃除してくれたから、そのお礼」
「ってか、お前又下着つけてないだろ」
「だってきついのヤなんだもん」

しかも自分のことも満足にできないくせに、このビッチ具合ときた。本当にこいつ、今までどうやって生きてきたんだろう。

「みっともないって言ってるだろ」
「今度からつけるからさ、ね、えっちしよ」
「お前さぁ」

自分がそういうことしたいだけだろ、僕はくっつくなまえを引きはがしてからくるりとなまえのほうに体を向けた。
下着をつけていないと分かってから、僕の目線は自然と胸元に向いていた。でも、これは僕が悪いわけじゃない。こんな下品な方法で誘惑してくるなまえが悪いんだ。僕が胸を意識してしまうのは不可抗力だから僕はなにも悪くない。だるだるに伸びきった襟元からなんとなく見える谷間にごくりと唾を呑み込んでから、はぁとわざとらしくため息をつく。

「僕は、もっとちゃんとしてる女の子が好きなの。わかる?」
「ちゃんとした女の子って?」
「まず部屋がきれいなこと、家事も洗濯もできて、仕事もちゃんとしててほしい」
「それ、絶対私だよ」
「はぁ?」

む、となまえはむくれた表情をしてから僕の手を掴んで、むにむにした胸に押し付けた。

「チョロ松くんが家事ができる女の子が好きなら私頑張るから、ね…えっちしよ」
「そういう……問題じゃないから……、」

昨日、おそ松兄さんのエロ本を拝借して抜いてて正解だと思う。じゃないと出てた。何が出るかは僕の口から言うことは出来ないけど、でも絶対出てた。
よくよくよくよく見てみれば、なまえは思っているよりも肌が白いことに気づくし、むにむにと押し付けられる胸は案外質量があっておさまりのいい形をしている。いろいろと考えている僕を見てなまえは、反応がないと考えたのかちょっと乱暴に僕の手を離した。

「チョロ松くんってむっつりそうな顔してるよね」
「なっ」

そういうとなまえは勢いよく、そのだらしがない寝間着を脱ぎ始めた。ぽい、と脱いだそれをベッドの脇に置くとなまえは僕に抱き着いた。

「ぱっ、パンツ……」
「そうだよ、チョロ松くんいっつも緑の洋服着てるからパンツもチョロ松くんと同じようにミント色にしたよ」
「……っ、」
「チョロ松くん、えっち嫌い?女の子とちゅーして、触ったり触ってもらったりしてきもちよくなるの、きらい?」
「きっ、きらいじゃない……けど」

生の胸が当たってると思うと、やっぱりもう出そうだ。出なかったとしてもちんこは痛いほどに勃起している。背中にまわされていた手がするすると伸びてベルトのバックルに触れた。
僕は咄嗟に、なまえをベッドに突き飛ばした。わ、とみっともない声を出すとパン一のなまえはベッドに仰向けになる。
本当にだらしがない、家事も満足にできなくてだらしがないのに、いっつもこうやってそういうことばっかりしようとするしそのくせしてなぜが就職出来て仕事をしているかが気になる。パンツ一枚しか身に着けていないなまえをまじまじと見ているとなまえは恥じらうことなく、でもわざとらしく「いやん、チョロ松くんのえっち」とそう言ってから下着の横に伸びる紐に触れた。

「お前、これまでどうやって生きてきたの?」
「普通に生きてきたよ」
「じゃなくて、就職とか家事とかどうやってきてたの?」
「仕事は普通に、家事は今までの彼氏がやってくれてたよ」

そうか、こいつ顔だけはいいもんな。と無理に納得させてからだらりと鼻の下を濡らすそれに指で触れた。

「だからお礼にえっちするの」

だらりと垂れたそれが鉄の味がするわけで、僕はそこまで興奮していたということになるわけだけどさっきの発言を聞いて痛いほどに勃起していたそれも萎えた気がする。
だって、処女じゃないってことでしょ。それってビッチじゃん。