レスキュー ひどい

なんか見るからにボロいから案の定、構造もボロいんだよねぇ。まぁ、トイレとお風呂がわかれてる、セパレートだし冷暖房も入ってるからいいんだけど。見た目は、ちょっと風が吹いたらたちまち壊れそうな二階建てで、築はとうに20年を超えてあろうボロボロアパート。でも、一人暮らし、家には寝に帰るくらいだから住めりゃあいいんだけど、さすがにこうも酷いと女の子も呼べない。
二階建てのおんぼろアパートの二階、階段上がって二つ目の部屋が俺の家。それで、俺の部屋から向かって左側に一部屋と、右側には三つくらい部屋がある。そっちにはいかないからわかんない。そもそも、ここに住んでいる住人なんてどう考えたってさびれた人生を送ってるカワイソウな大人たちなのだろう。
ふあぁ、とあくびをしてから隣の部屋のインターホンを押した。困ればいいと思って三回くらい連続で押しておいた。別に壊れたって、誰もこないだろうから大丈夫。
何度か押しても全然反応がなかったから、ドンドンと扉を数回たたいてから「いるんだよねぇ」と声をかけた。いないわけがない、だって洗濯機がまわってる音聞こえてるんだもん。
ボロアパートだから、隣声全部筒抜けでさぁ。そう、筒抜けなわけよ。

「ちょっと、居留守はないでしょ」

がつん、と一回だけ蹴れば、ぎぎっと軋む音がして扉が開いた。俺が見たのは、こんなボロアパートにこんな人住んでたっけって思うほど見覚えのない、俺と年が変わらないくらいの女性だった。
女性は、ちょっとだけ怯えたように「すみません、すぐに出られなくて」と言ってからぺこりと頭を下げた。

「そ、それで何か御用ですか?」
「あぁ、うん、そう用事」
「?」
「昨日のセックス気持ちよかった?」

声の感じからして昨日ひんひん喘いでいたのはこの女の子だなぁと思いながら、俺は彼女が扉を閉めてしまわないように足でドアをひっかけた。
彼女は、びっくりしたように俺のことを見上げてから小さくすみませんと謝る。

「ここさぁ、ボロアパートじゃん?だから、声も全部漏れるわけよ。だから、俺が今日みたいな真昼間からAV見てるのだって聞こえてるでしょ」
「……」
「昨日は長かったね、いっぱい旦那さんの名前呼んでたみたいだし……あと、なんかそこにも跡ついてるよ」

ここ、とすこしだけよれたニットから見える鎖骨に赤い跡がついていたから、俺はそれを軽くとんとん、と指でつついた。
ひ、と彼女は短く悲鳴を上げてから泣きそうな顔をする。ひどいなぁ、俺が丁寧におしえてあげてるのに、なんかびびっちゃってさ。ひどくない?
恥ずかしいのか怖いのか、後ろに一歩だけ下がってからもう一度「すみません」と言って、深く頭を下げた。
俺は別にそういうことをしてもらいたいわけじゃないんだよねぇ。

「うん、何がごめんなさいなの?」
「……?」
「えぇ、だって俺眠れなかったんだよ。『あっ、あぁ、やぁ、カラ松くん、んっ』ってギシギシアンアン喘いでさぁ」
「……すみません」
「だぁから、そういうことじゃなくて、セックスで喘ぎすぎてごめんなさいでしょ」
「……」

ちょっと意地悪しすぎちゃったかな。でも、ちょっと好み。おっぱいもそこそこあるし、おしりも大きそう、なんか団地妻っぽい。でも、昨日のセックスの感じからして、その旦那さんのカラ松くんってやつには結構大切にしてもらってそうだけどね。あの人、いっつも死にそうな顔してたまにしかここに帰ってこないから、てっきり独身で童貞だと思ってた。なはは。

「なまえちゃんだっけ?見るからにえろそーな顔してるもんね」
「……ぅ」
「旦那があんなにげっそりしてるのって、なまえちゃんが搾り取ってるからじゃないの?」
「……そ、そんな言い方」
「あれま、泣いちゃった」

まぁ、たぶん違うと思うけどね。見るからにやばそうなところで働いてるから、それのせいだと思うけど、なまえちゃんの反応がいちいち面白いからさぁ、こう、ちょっと意地悪したくなるんだよねぇ。
ごめんね、と謝ってからがしがしと頭を撫でてあげる。いやだ、と言わんばかりに顔を背けられた。それってなんかちょっと傷つかない?俺は顎を無理やりつかんでから、視線を合わせる。いやいや、と首を振るからぎゅう、とほっぺたの方を強くつかんでやった。

「ほら、言ってよ。『セックスで喘ぎすぎてごめんなさい』って」
「……でも、」
「悪いことしたらごめんなさいって習わなかったの?」
「……」
「ほら、はやくして」
「……」
「……」
「……せ、っくす…で、喘ぎすぎて、ごめんなさ……い、」

なんか俺が悪いみたいじゃん、でも俺悪くなくない?
つかんでいたほっぺを離してから、とりあえずおっぱいを軽く揉んでおいた。いいなぁ、俺もこんなエロそうな彼女ほしいな、疲れて帰ってきてからセックスで癒してくれるとか最高じゃん。でも、#name#ちゃんみたいに、見るからにエロそうで欲求不満なのはちょっとアレだけど。

「ほんと、今度から気を付けね」

ごめんなさい、と小さく謝るなまえちゃんに「じゃ、よろしくね」と念を押してから滑いり込ませていた足を引いて自分の部屋に戻った。
それにしてもいじめがいがあるなぁ、と思って俺は仕事帰りに借りてきたAV(人妻が隣の住人と不倫セックスする内容のやつ)を大音量で流してやった。今度会ったときは、ケツを思いっきり揉んでから素股してくれないか聞いてみよう。
あんなにエロそうなら、欲求不満そうだし押しにも弱そうだからやらせてくれそう。