彼女と食事についての見解(道化師の視点)

彼女、ボクの友達の×××は食事に対して彼女一流の美学を持っている。

 美学という言葉に語弊を感じるようならば拘り、或いは信念と言い換えてもいいかも知れない。

 彼女はテーブルマナーを遵守する。
酷く特異な育ちの関係で文字を読むことはおろか、発声すらまともに出来なかった彼女は、なぜかテーブルマナーにはとても厳格である。

彼女曰く「これはあたしのテーブルじゃないから」だそうだ。

また彼女は食べることを生きることの至上命題であると考えている。
 

 いつだか彼女は語った。
「食べることは生きることなんですよぅ。あたしはそのために生きてるしあたしはそうしないと生きられないしあたしの能力はそのためにある」


「例えばそうだ。ヒソカくんがもう一生戦わなくても飢えを感じることがないって言われてもなんか違うじゃん?ヒソカくんは戦うために生きてるってわけじゃあないと思うけど生きるからには戦いたいし、ヒソカくんの能力は戦うためにあるわけだよ。つまりそういうことだと思うの」


 ああなるほど至言だと思った。仮に食事が必要ないと言われても食事を完全に放棄する人間は、おそらくあまり多くは無いだろう。


 さて彼女と食事との関連性の話をするのならば、ボクの知っている限りの彼女の能力について話すべきだろう。

 彼女の持っている能力は二つ。一つは怪物女王の悪食<モンスター・ナイフ>。なんでも食べやすい大きさに壊す刃物を具現化する能力。刃物の形状はちょっと大振りのサバイバルナイフといったところか。

もう一つは名称不明。というか名前をつける必要すらないのだろう。彼女の言う理想の身体を具現化する能力。何でも、それこそどんなものでも(まああくまで概念などではなく形があるものに限られる訳ではあるが)食べて消化して生きる能力。この能力はオーラが出ている時には常時発動し、眠るときだけは完全に絶になる。

 彼女の能力は正しく願いと祈りから出来ているとボクは推測する。


彼女は流星街のはずれもはずれの路地で生きていたそうだ。親はいなかったらしい。着るものどころか、およそ哺乳動物が食事とすることが出来るものはなかったと聞いた。不毛どころではないその場所で×××は果たして何を食べていたのか。何も無いといってもそこは路地であるから建物くらいはさすがにあったのだろう。地面があるのは言わずもがな。彼女はコンクリートや土を食べて生きていた。

 彼女にとって食べることは生きることである。言い換えれば食べることさえ出来れば彼女の理論で言えば死ぬことはない。

 死なない身体を欲してまで、彼女は生きていたかった。×××が能力を果たしていくつの時だろうか。子供で強力な能力を持つ念能力者はいない。これは通説であるが彼女のそれは訳が違う。本能に合致したよっぽど強い意志ではなく最早イドであったのだろうとボクは確信する。


 ボクの友達の×××は食事を何よりも大切にしている。
 だからこそボクは戦闘ということを度外視してでも彼女と友達でいられるのだろう。

ボクは彼女が大好きだ。勿論、戦闘の次にだが。



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