簡単な質問をしましょう
ヒソカの場合
Q,どうして人を殺すのですか?
「最高に熱くてハイになれるからだよ。セックスやドラッグと一緒さ。或いはコーヒーや紅茶、チョコレートと言い換えてもいいかも知れない。とても依存性の強い嗜好品さ」
奇術師は口元ににたにたとした笑みを浮かべながら答えた。
イルミの場合
Q,どうして人を殺すのですか?
「仕事だから。それ以上でもそれ以下でもない。やっぱりある程度までリスクがある以上、それを超えるリターンがないとやってられないよ。好き好んで殺してるわけでもないしね。あくまでも家業だからやってるだけ」
殺人鬼は無表情の中に苦々しさを湛えながら答えた。
×××の場合
Q,どうして人を殺すのですか?
「食べるためです。やっぱりそこそこ労力がいるし、ぶっちゃけ美味しいか美味しくないかって聞かれたら微妙ですけど、お腹減るよりましなので。あとそこら辺にいっぱいいますし」
悪食の化け物はどうしてそんな当たり前のことを聞くのかと言わんばかりの表情で答えた。
「そもそも今更人を殺すのに何か感慨がある奴の方が変なんだよね。とどのつまりヒソカは変」
瞳に一切の光も感じられない目をした長髪の麗人は言う。
彼の周囲には非常に奇抜な格好をしたピエロのような男と、廃人同然の見た目のツナギを着た子供。彼ら三人に共通するのは人殺しというそれだけである。
「あたしイルミくんにさんせーい。ヒソカくんは変だ!変態だ!変態止まれっ!」
きゃらきゃらと笑うツナギの子供は、それこそ小学生のように指と肘を真っ直ぐに伸ばして腕を耳につけるという分かり易い挙手をしている。誰がどう見ても分かり易く悪ノリをしている。
「×××までかい?二人とも酷いなア。ボクほど公明正大な人間はいないのに」
と、肩を竦めるジェスチャーをするピエロ。けれども顔はにたにたと締り無く笑ったままである。
「ダウト」
「ヒソカくんそれは冗談にしても笑えないから止めた方がいいよ。ほら、鳥肌立っちゃった」
血色の宜しくない能面が二つ。それはもう無表情のお手本のような無表情である。
「まあ何にせよさ、あれだよね。今更感しかないよね」
「そうだよねェ。今更聞かれても、ねえ?」
「ヒソカと意見が合うとか気持ち悪いけど、そんなモンだよね」
人殺したちの見解
人間を殺すのに大した理由は必要ない。