02

 今日はママにお使いをたのまれた。
 何を買ってくるのかをきいて、わたされたかばんの中におさいふとクレヨンとおえかきちょうをいれる。

街の人はママがおかしくなっちゃったってみんな知ってる。
 だからぼくがお使いにいってもみんな何もいわない。

 ぼくはポケモンだから人間よりも力が強い。
 だからお店のしなものを壊したりしないように、お店の人に買いたいものを書いた紙をわたす。
 おさいふもじょうずに開けられないから、いっしょにわたす。
 がま口のおさいふは爪でこじ開けて壊しちゃったり、ねじ切っちゃったりしちゃうんだ。

 がさがさ。
 買ってきた物をいれたかばんが、うれしそうにうたってる。ちょっとぼくもたのしいきぶん。
 ママの中では×××はじこにあったけど死んでいなくて、しゃべれなくなっただけってなってる。
 ほんとうはぼくが人間の言葉をしゃべれないだけなんだけど。

ぼくは字が書ける。
 でもエスパータイプみたいに器用じゃないから、小さな子が書いたみたいになってしまう。
 でもそれが×××っぽいみたいで、ママはよろこんでる。

 ×××がうまれるまではぼくだけのママだったのにな。
 ママの心をもっていってしまった×××がちょっとだけ、うらやましい。
 ママはもうぼくのこと思い出してくれないのかなって思っちゃって、またむねのおくのところがシクシク痛むんだ。
 泣いちゃいたいけど泣いちゃったらばれてしまうから駄目。

 さあもうすぐお家だ。またかんぺきな×××に戻ろう。
 ぼくはうそつきの天才だからしかたない。しかたない。





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