遊戯が仕掛けてきた闇のゲームとやらにボクは敗北した
…自分のペットに食われるという形で。
まさに、飼い犬に手を噛まれるという表現が相応しいけれど、腑に落ちない。
ボクが気を失う直前に、奴はこんなことを言っていた。
「飴と鞭だけではいけない」
「愛情がなければ」
愛情とは何か?
果たしてボクは愛情を持って接していなかったのか?
ボクのが出した答えはこうだ
"ボクにはボクの愛情表現がある"
ごく当たり前の事じゃないか。
愛しているだとか、そんなヘドが出るような言葉ばかりを囁くことだけが愛ではない。
ただただ優しく接っすること、相手を思いやることだけが愛情ではない。
どんなに歪であろうとも、ボクの愛の形を否定することは誰にもできない。
確かに一般的ではないとわかってはいる。
ただ、普通ではないといわれるのならばそれは違う。
これがボクの普通だから。
人間誰しも支配欲というものが強かれ弱かれ存在する。
ただボクのそれが人一倍大きく、強く、激しかっただけの話だ。
金という甘い蜜をくれてやるかわりにそいつはボクのペットになる。
裏を返せば、金が欲しいがために自らペットになりにくる。
先に話を持ち掛けるのはだいたいボクだ。
しかしみんなよっぽどエサが欲しいらしい。
最終的に持ち掛けられた話を断るやつなんていなかった。
…今までは
おとなしいやつらばかりをターゲットにペットとして育成していたボクに本田くんは新鮮に映った。
今度こそ、ボク好みに育てられるかもしれない
彼が好いているらしい野坂ミホをエサに提示してみたが、彼は首を縦に振るどころか酷く反抗的な視線を向けてきた。
口では「ふざけるな」と言いつつ目は欲に踊らされ結局は従う、そんなやつらなんを何人も見てきた。
だから、本田くんの瞳は久しぶりにボクを興奮させた。
「ペットにしたい」
この胸の高鳴りを愛と呼ばず何と言うだろう?
「ボクだけのものに」
この感情を愛情と呼ばず何と言うだろう?
彼はペットになるということをそう簡単に良しとはしないだろう。
おそらく、猛反発を受ける。
一方的な想いは愛情とは程遠い?
相手が望んでいないから?
ならばだ、一方的ではなくすれば良い。望ませてしまえばいい。
つまり、本田くんのベクトルをボクに向けさせればいい。
"受け入れてもらう"ほかないということだ。
そのためにはどうすればいいか?なによりもまず、信用させる事が第一だ。
僕は心を入れ替えた、そう思わせる。
真面目で単純な彼の事だ、きっとあっさり騙されてくれるだろう。彼が完全に信じたその瞬間からは僕のターンだ。
僕が手のひらを返したときの本田くんの表情、心情…想像しただけでゾクゾクする…
その時が今から楽しみでしょうがないよ
ボクは何一つ間違ってはいない。
全ては、君をボクのものにするために
またの名を開き直り
罰ゲーム後でも考え方は変わらず鬼畜で自分本位な考え方の灰山くんとターゲット本田
あわよくばこのまま中編くらいにしたい灰本。でも続き書いたら裏行きになりそう